インサイドセールスは、インサイドセールス専用のトークスクリプトを作成すると、顧客とのコミュニケーションがよりスムーズになり、購買意欲を高めるきっかけになります。トークスクリプトを利用すれば、大体のトークの流れや内容を決めておけるため、営業活動の知識が少ない場合でも対応しやすくなり、商談への移行率も向上できるのです。
では、トークスクリプトにはどのような項目が必要で、どのように作成していけばよいのでしょうか。
今回の記事では、トークスクリプトを作成する前に準備すべきことや、作成ステップを紹介します。この記事を参考に、トークスクリプトを作成してみましょう。
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目次
インサイドセールスのトークスクリプトとは
インサイドセールスのトークスクリプトとは、一体どのようなものなのでしょうか。
トークスクリプトとは
トークスクリプトとは、営業活動において顧客と会話する際の内容や流れを定めた台本です。あらかじめ話の内容や流れを決めておくことで、顧客との会話がスムーズになります。
トークスクリプトを作成すると、営業担当者のトーク内容を標準化できたり、新人がスキルを身に着けやすくなったりするなどのメリットがあります。顧客に聞くべき項目や、訴えかけるべき事項を決めておくと、コミュニケーションの質が高まるためです。
インサイドセールスのトークスクリプトが持つ特徴
インサイドセールスは、見込み顧客の購買意欲を高め、商談につなげることを目的としています。そのため、インサイドセールスのトークスクリプトは、顧客に「この製品を買いたい」と思ってもらえるような内容を含めなければなりません。
具体的には、製品の細かな特徴や、製品が顧客に与えるメリット、具体的な数値(導入実績や顧客満足度)などを説明する必要があります。また、顧客にとって必要な情報は何か判断するために、ヒアリング項目を設定して顧客のニーズ・課題を聞き取ると効果的です。
トークスクリプトがあれば、顧客に伝えるべき情報を整理でき、顧客の購買意欲を高められるようなトークを実現できます。
トークスクリプトを作成するメリット3つ
トークスクリプトを作成するメリットを3つ紹介します。
①営業のスキルを標準化できる
トークスクリプトを作成すると、大まかなトークの流れや話すべき内容を定められるため、トークの質を標準化できます。さらに、自社製品のアピールすべきポイントや、顧客に与えられるメリットをまとめておくとトークの質が高まります。
営業活動はそれぞれの社員のスキルやノウハウによってアポイント獲得率に差が出てしまいがちです。しかし、トークスクリプトを作成すれば、社員全体のトークの質を高められるため、アポイント獲得率の向上につながります。
②新人教育がスムーズになる
トークスクリプトがあれば、新人に営業活動のコツを教えやすくなります。話すべき項目や聞き取るべき項目、使える表現などをまとめて伝えられるためです。
営業活動を始めたばかりの社員も、ある程度話す内容が決まっていれば安心して営業活動に望めます。また、トークスクリプトに沿って会話することで、営業活動におけるコミュニケーションのノウハウを獲得できるでしょう。
営業活動を始めたばかりだと、どのように会話を進めていけばよいか分からない場合もあるでしょう。あらかじめ「このような場合はこのようなデータを提示して訴えかける」「このような質問にはこう答える」などと決めておけば、戸惑うことなく営業活動を進められます。
③商談成約率向上につながる
インサイドセールスでは、いかに顧客の購買意欲を高められるかが重要です。
インサイドセールスは非対面でのコミュニケーションであるため、製品を直接見てもらったり、触ってもらったりすることはできません。そのような状況でも顧客に興味を持ってもらうためには、製品を利用した感想など具体的なデータを用いて説得する必要があります。
自社製品を利用した感想をまとめておけば、顧客一人ひとりのニーズに合わせたエピソードを伝えられます。つまり、トークスクリプトがあれば、伝えるべき情報を整理して話せるため、顧客の購買意欲を高められるのです。
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トークスクリプトを作成する前に
トークスクリプトを作成する前に、いくつか行っておくべきことがあります。今回は、トークスクリプトの作成前にすべき3つのことを紹介します。
①インサイドセールスの成果を把握
まずは、現時点でインサイドセールスの成果がどれくらい出ているか把握しましょう。
現時点でどれくらいの見込み顧客がいて、そのうちの何パーセントにアプローチをしたのか・実際に商談につながったのは何パーセントなのか、などといった観点から分析しましょう。そして、今後その数値をどれくらいまで向上させたいのか、具体的な目標を設定してください。
具体的な目標があると、自然にインサイドセールスに対するモチベーションが上がり、社員全体の意識を高められます。そして、目標を達成するためにはどのような工夫が必要か考えましょう。
顧客の購買意欲を高めるためにはどのような情報を提供するべきか、どのようなデータを基に訴えかけるべきかといった観点から考えてみると、トークスクリプトに含めるべき内容が分かりやすくなります。
②インサイドセールスの問題点を把握
インサイドセールスの成果を確認したら、問題点を把握しましょう。トークスクリプトを作成する際には、問題点を解決するにはどうしたらよいのか考える必要があります。
例えば、顧客の抱えている課題点を聞き取れず、一人ひとりに最適な情報を提供できていない場合は、顧客に聞き取るべき項目をじっくりと考えなければなりません。ヒアリング内容の整理については、次の見出しで紹介します。
③ヒアリング内容を整理
顧客との会話が終了した後に、「あの項目を聞き忘れた」「こんなことを聞いておけばよかった」とならないようにするためには、事前にヒアリング内容を整理したうえで、項目を設定しておくとスムーズです。
顧客の属性(業種・部署・役職)はもちろん、顧客が今どのような製品を必要としているのか・どのような課題を抱えているのか・製品導入にかける予算はどれくらいか…など、聞き取りたい情報を整理しましょう。このように整理しておくと、ヒアリング項目を設定しやすくなります。
トークスクリプトに必要な5項目
トークスクリプトを作成する際に必要な5項目を紹介します。
①挨拶・自己紹介
最初に考えるべきなのが、挨拶や自己紹介の流れです。自社の印象を左右するため、慎重に考える必要があります。
ただ単に会社名と名前を名乗るだけでなく、自社の特徴を一言で加えておくと、顧客の印象に残りやすくなります。例えば、以下のような挨拶が挙げられます。
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このように製品・サービス名や特徴を含めると、自社がどのような企業なのか分かりやすくなります。この際に、製品・サービスのメリットや特徴を簡潔に紹介するのも効果的です。
②顧客の課題・ニーズ・予算把握
次に、顧客が抱えている課題やニーズ、製品導入にかけられる予算を聞き取りましょう。これらの情報を早い段階で聞き取っておくと、どのような情報を顧客に提供すべきか判断でき、自社製品を紹介しやすくなります。
例えば、以下のように質問してみると良いでしょう。
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予算に関しては、詳しく答えたくない顧客もいるかもしれません。そのような場合に備え、「大まかでかまいませんので」など一言添えるのも効果的です。
顧客の返答は記録し、後から営業部門で共有しましょう。
③自社製品の紹介
ある程度顧客情報を聞き取ったら、顧客が抱えている課題やニーズに合わせ、自社製品のメリットを紹介しましょう。具体的な数値を用いて訴えかけると効果的です。
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具体的な数値を示すことで、製品に対するイメージがわきやすくなります。このようなデータを示すためにも、日ごろから自社製品の導入事例を収集しておきましょう。
④クロージング
ある程度顧客との会話が進んだら、次回の接触機会を設定しましょう。複数の選択肢を提示すると、顧客も選択しやすくなります。
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購買意欲がそれほど高くない顧客に対して、無理に商談を設定する必要はありません。そのような顧客に対しては、後日改めて電話やメールでアプローチをしたり、資料を送付したりするなど、時間をかけて購買意欲を高めるようにしましょう。
⑤質問に対する返答
顧客から製品について質問された際、すぐに返答する準備は整っていますか?製品について詳しく把握しておかないと、顧客からの質問に答えられません。
「このような質問が来たら、このように答える」というように質問の返答も決めておくと、戸惑うことなくトークを進められます。インサイドセールスを進めるにあたって、顧客からされそうな質問や、実際にされた質問をまとめておきましょう。
例えば、「この製品を導入するとどのようなメリットがあるのか?」や、「他社製品とはどのような違いがあるのか?」などといった観点から、製品の特長を整理してください。顧客からされそうな質問を想定しておくと安心です。
トークスクリプトの作成5ステップ
トークスクリプトを作成するための5ステップを紹介します。
ステップ1 ターゲットの設定
まずは、ターゲットを選定します。顧客の属性によって、提供すべき情報も変わるため、自社がどのような顧客をターゲットとしているのか整理しましょう。
自社の見込み顧客にはどのような業種・役職の顧客が多いのか分析し、それに合わせた情報提供・話し方を意識してください。ターゲットを選定することで、顧客が必要とする情報も分かりやすくなります。
例えば、顧客が所属する企業の規模によって、製品導入にかけられる予算が変わるでしょう。顧客の企業規模があまり大きくない場合は、複数の料金プランを紹介したり、他社より価格設定を抑えた製品を紹介したりすると効果的です。
ステップ2 目的の確認
次に、インサイドセールスの目的を明確にしましょう。どれくらいの見込み顧客を商談に移行させたいのか、数値目標を設定しておくと、目標達成のために何をすべきか考えやすくなり、モチベーションも上がります。
さらに、商談に移行する前にどのような情報を聞き取るべきか把握しましょう。商談ではさらに詳しいデータをもとに訴えかけるため、顧客の課題やニーズを詳しく知っておく必要があるのです。
インサイドセールスの目的を明確にし、目的意識をもってトークスクリプトを作成すると、トークの質を高められます。
ステップ3 項目の設定
商談への移行率や、商談の成約率を向上させるため、顧客が現在課題だと感じている点や、製品に求めるポイントは聞き洩らさないようにしましょう。そのためにも、ヒアリング項目は慎重に設定する必要があります。
トークスクリプトを作成し始める前に、フィールドセールス部門とも連携したうえで聞き取るべき情報を整理しましょう。そして、その整理した内容を基に、具体的な項目を設定してください。
例えば、以下のような項目を設定しましょう。
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最低限の聞くべき項目が決まっていれば、営業活動に慣れていない場合も大事な情報を聞き漏らすことはありません。ヒアリング項目を設定したら、チェック欄を設けておくとさらに安心です。
ステップ4 トークフロー作成
トークフローとは、顧客との会話の流れを図式化したもので、次に話すべき事柄が一目でわかるというメリットがあります。トークスクリプトでは、話す内容が細かく記載されていますが、トークフローは大まかに記載し、細かい内容よりも流れを掴むことを目的としています。
例えば、「取次OKの場合はこの内容を話す/取次NGの場合は要件の説明」、「趣旨を説明し反応が良い場合は次回接触機会の設定/あまりよくない場合は資料の送付可否の確認」など、相手の答えや反応に沿った対応を想定しましょう。「このような質問が来たらこう答える」といった項目も用意しておくと、電話口でためらうことなく会話を続行できます。
ステップ5 トーク内容の詳細作成
ヒアリング項目やトークフロー(トークの大まかな流れ)が決まったら、実際にどのような内容を話すか細かく決めましょう。詳細を作成する際は、製品をアピールする際の表現や口調まで決めてください。
さらに、営業社員一人ひとりが自分自身の言葉で考えると、台本を読んでいるような話し方にならずに済みます。最初はある程度営業に慣れている社員でトークスクリプトを作成し、他の社員も慣れてきたら自分で話し方や内容を考えてください。
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トークスクリプト作成時のポイント3つ
トークスクリプトを作成する際のポイントを3つ紹介します。
①顧客の興味・関心度合いを高められるか
インサイドセールスの目的は、顧客の興味・関心がある情報を提供し、顧客の購買意欲を高めることです。この目的を達成するには、自社製品を詳しく分析し、特徴をしっかりと説明できるようにしておく必要があります。
製品のメリットはもちろん、具体的な導入実績やデータを用意しておきましょう。「自社製品を導入したことで、売上が〇〇%増加した」などの詳細なデータがあれば、顧客を説得しやすくなるのです。
インサイドセールスの目的を意識し、顧客に「この製品を導入したい」「この製品についてもっと知りたい」と思ってもらえるような情報を提供しましょう。
②トップセールスの意見を参考にしているか
初めてトークスクリプトを作成する場合は、どのような項目を入れるか、どのような内容を入れ込むか決めるのが難しいかもしれません。
そのような場合は、営業活動に慣れているトップセールスに意見を求めましょう。トップセールスに営業活動の際に意識しているポイントや、良く使う表現、トークの流れを聞き取り、それらを取り入れましょう。
③新人でも活用しやすいか
トークスクリプトは、新人教育にも活用できます。コミュニケーションのコツやトークの流れ、正しい言葉遣いなど、営業活動のコツをすべて入れ込めば、新人も安心して営業活動に取り組めます。
初めて営業活動に取り組む場合、どのように取り組んでいけばよいかわからないでしょう。そのような場合に、最低限の聞き取るべき内容・話すべき内容が決まっていれば安心です。
専門用語には語注を付けたり、図で示したトークフローを入れ込んだりすると、新人でも使いやすいトークスクリプトが出来上がります。
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トークスクリプト活用時のポイント2つ
トークスクリプトを活用する際のポイントを2つ紹介します。
①その場に応じて柔軟に対応する
トークスクリプトは営業活動における台本のようなものですが、そのまま読んでしまうと感情がこもらず、顧客に訴えかけづらくなります。実際に顧客と会話する際には自分の言葉で言い換えたほうが、コミュニケーションが自然になります。
また、想定していないようなことを質問されても、うろたえずに答えられる範囲で回答しましょう。その場のシチュエーションに柔軟に対応し、次回以降に生かしてください。
②定期的に見直す
トークスクリプトに記載している内容は、定期的に見直しましょう。製品のバージョンアップや、歳月の流れに合わせ、最新の情報を取り入れましょう。
さらに、営業活動を重ねるうちに、新たな発見があればそちらも加えましょう。例えば、顧客からよくされる質問や、顧客の反応が良くなる表現をその都度加えていくと、他の社員にとってもより良いトークスクリプトが出来上がります・
トークスクリプト作成に活用できるツール3選
トークスクリプトの作成に活用できるツールを3つ紹介します。
UPSELL TECHNOLOGIES |トークスクリプト作成とコール代行
UPSELL TECHNOLOGIESでは、インサイドセールスに活用できるトークスクリプトやマニュアルの作成や、コールの代行サービスを提供しています。
業種やビジネスモデルを問わず、4,500社以上で利用実績があります。このノウハウを基に、「売れる」トークスクリプトを作成し、コールを代行してくれるのです。
インサイドセールスや営業に関するノウハウ・知識が少なくても、電話での営業をすべて代行してもらえるため安心できます。人手が足りていない場合でも、インサイドセールスに取り組めるのです。
参考:UPSELL TECHNOLOGIES公式サイト インサイドセールス コールセンター代行サービス
▶︎UPSELL TECHNOLOGIES公式ホームページはこちら>>
ミーテル|AIによる音声解析
ミーテルとは、株式会社RevCommが提供するAI搭載のIP電話サービスです。
AIを搭載しているため、営業担当者の話し方を細かく分析できます。そして、分析を基にスコアの高い営業担当者が洗い出せます。
より良いトークスクリプトを作成するためには、成果を上げている営業担当者の話し方や、表現を取り入れると効果的です。ミーテルでは、トーク内容を録音できるため、成果の高い営業担当者の話し方を繰り返し聞いて、分析できます。
トークスキルを向上させ、より良いトークスクリプトを作成することに非常に適したツールだと言えるでしょう。
参考:ミーテル公式サイト
Visio|トークフロー作成時に利用できる作図ツール
Visioは、Microsoft社が提供している作図ツールです。トークフローを作成する際に役立ちます。
Visioにはいくつかのテンプレートが用意されているうえに、リアルタイムで複数人が同時に作業できます。そのため、電話やビデオ会議システムをつなげば、リモートワークの際もスムーズに共同作業ができるのです。
Visioはトークフローを作成するときだけでなく、資料の作成やブレーンストーミングにも活用できます。また、セキュリティ体制も整っているため、安心して利用できるツールです。
▶︎Microsoft Visio公式ホームページはこちら>>
インサイドセールスの成功にはトークスクリプトが重要
今回の記事では、トークスクリプトの作成方法やポイント、利用できるツールを紹介しました。
トークスクリプトがあると、安心して顧客とのコミュニケーションに望めるだけでなく、社員全体のトークの質を高め、顧客の購買意欲向上につながるのです。顧客の購買意欲を高めることを目的としているインサイドセールスでは、トークスクリプトが非常に大きな役割を果たすでしょう。
この記事を参考に、ぜひトークスクリプトを作成してみてください。