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2022.04.01

インサイドセールスの手法|効率よく取り組むためのポイントを解説

最終更新日:

インサイドセールス 手法 アイキャッチ画像

営業活動をより効率的にするためには、どのような工夫ができるでしょうか。おすすめの方法の一つとして、インサイドセールスの導入が挙げられます。

インサイドセールスは現在注目を集めていて、導入する企業も増加しています。今回の記事では、インサイドセールスの手法や特徴、効率よく取り組むためのポイントを解説します。

インサイドセールスとは

インサイドセールスとは、自社の製品やサービスに対して興味がある見込み顧客に、メールや電話、オンライン商談ツールなどを用いて非対面で行う営業活動のことです。

フィールドセールスでは、基本的に一人の担当者が見込み顧客のナーチャリング(育成)や訪問、訪問後のクロージングを担当します。そのため、一度に何人もの顧客に対応することが難しいというデメリットがあります。

しかし、インサイドセールスでは、見込み顧客のナーチャリング(育成)やアポイントメントの獲得を分担して取り組みます。よって、人手不足が解消される、営業活動が効率的になるなどのメリットがあります。

▶︎営業DXについてこちらの記事で解説しています>>

フィールドセールスとの違い

従来のフィールドセールスは、対面でコミュニケーションを図れるため顧客との関係性が深まるというメリットがあります。しかし、コロナ禍では対面でのコミュニケーションも制限されているため、効率的に営業活動を進められないというデメリットがあります。

インサイドセールスを導入すれば、コロナ禍においても顧客とのコミュニケーションをとれるうえに、移動時間がかからないため一日に対応できる顧客の数も増加します。また、密にコミュニケーションを取ることで、購買意欲の高い顧客を抽出しやすくなります。

例えば、配信したメールマガジンの開封率や、電話やビデオ通話で話した内容から顧客の購買意欲がどの程度か分析できます。直接顔を合わせてコミュニケーションを取る前にメールや電話等で情報を提供し、顧客の反応を見られるのです。

インサイドセールスが注目されている3つの理由

多数の企業がインサイドセールスに注目している理由を3つ紹介します。

  1. コロナ禍でオンライン営業が発達
  2. 人手不足
  3. オンライン上でのリード獲得の増加

①コロナ禍でオンライン営業が発達

2020年頃から日本でも新型コロナウイルス感染症が拡大し、企業は営業体制の変更を余儀なくされました。対面での会議、商談は中止になり、代わりにWeb会議ツールなどが用いられることが増えました。

しかし、このような変化が起こったことでオンラインでの営業体制が整備され、非対面で実施するインサイドセールスが広く知られるようになったのです。

②人手不足

現在の日本では少子高齢化が進んでおり、労働人口も徐々に減少しています。そのような状況で、いかに人材を確保し、効率的に営業活動を進めていくかが重要になっているのです。

インサイドセールスは業務の分担がしやすく、少ない人数でも取り組みやすいというメリットがあります。フィールドセールスの場合、対面での営業活動がメインで、実際に顧客を訪問するため、顧客一人ひとりに対してあらかじめ担当者が決まっていることがほとんどです。

しかし、インサイドセールスではセールステックを活用してメールを一斉配信できたり、直接訪問しないため移動時間を短縮できたり、少人数でも効率よく営業活動に取り組めるのです。そのため、インサイドセールスを導入して営業活動の効率化を目指す企業が増えているのです。

③オンライン上でのリード獲得の増加

インターネット環境が発達した現在では、ウェブ上での情報収集・問い合わせが主流になっています。そのため、ウェブ上でリード(見込み顧客)の情報を獲得できる機会が増加しました。

問い合わせ・資料請求用のフォームに電話番号やメールアドレスが記入されていれば、非対面のままリードにアプローチできるのです。非対面でのコミュニケーションを通してリードの購買意欲がどれくらいか把握できるため、特に購買意欲が高い顧客にのみ対面で営業活動をすることも可能です。

インサイドセールスのメリット3つ

インサイドセールスにはどのようなメリットがあるのでしょうか。今回は以下の3つのメリットについて解説します。

  1. 移動時間が短縮できる
  2. 1日に実施できる商談数が増加|人手不足にも対応可能
  3. 成約率が向上

①移動時間が短縮できる

インサイドセールスではメール・電話・オンライン商談ツールなどを利用するため、自社内で営業活動を完結できます。そのため、顧客である相手企業を直接訪問する必要がなく、移動時間を省けるのです。

移動時間がかからない分他の業務に時間を充てられるため、業務効率が向上するでしょう。

▶︎DXによる働き方改革についてこちらの記事で解説しています>>

②1日に実施できる商談数が増加|人手不足にも対応可能

移動時間がかからないため、対面で行うフィールドセールスと比べて1日に実施できる商談数が増加します。1日に実施できる商談数が多いと、見込み顧客が増えても対応可能です。

また、フィールドセールスでは、営業担当者が直接顧客を訪問する形でしたが、インサイドセールスでは非対面でのアプローチがメインであるため、少ない人数でも取り組みやすいというメリットがあります。

③成約率が向上

インサイドセールスでは、見込み顧客に対する継続的なアプローチが可能です。そのため、時間をかけてじっくり見込み顧客を育成できます。

さらに、MA(マーケティングオートメーション)ツールを利用すれば、メールの開封率やウェブサイトの閲覧履歴から顧客の興味・関心度合いを分析できます。顧客一人ひとりに適した情報を提供したり、購買意欲の高い顧客から優先して営業活動をすることで成約率が向上するでしょう。

►MAツールの導入メリットについてこちらの記事で解説しています>>

インサイドセールスの手法5ステップ

インサイドセールスの手法を5つのステップに分けて解説します。

  1. 顧客データの管理体制整備
  2. フィールドセールス部門との役割分担
  3. 目標と計画の策定
  4. 見込み顧客の育成
  5. 対面での営業活動に移行

ステップ1 顧客データの管理体制整備

最初に行うべきことは、顧客データを管理する体制の整備です。インサイドセールスでは顧客の個人情報のみならず、興味や関心も蓄積する必要があります。

手動でデータを管理し、共有するのには限界があり、特に人の手で顧客の興味・関心を分析すると時間がかかってしまいます。そのため、以下で紹介するセールステック(営業活動支援ツール)の導入をお勧めします。

顧客の個人情報を蓄積し、共有するためにはCRM(Customer Relationship Management)ツールの導入がお勧めです。CRMには、メールを自動で配信できる機能がついているものもあるため、積極的に活用しましょう。

顧客の興味・関心の分析には、MA(Marketing Automation)ツールがお勧めです。MAを利用すれば、顧客のメール開封率やウェブサイトの閲覧履歴を追跡できるため、顧客が興味のある分野や、関心度合いを可視化できます。

さらに、顧客情報の管理には名刺管理ツールも利用できます。名刺管理ツールを利用することで、オンライン上で名刺情報を管理できるようになり、情報共有も簡単になります。

▶︎セールステックについてこちらの記事で解説しています>>

▶︎名刺管理ツールについてこちらの記事で解説しています>>

ステップ2 フィールドセールス部門との役割分担

見込み顧客へのアプローチやナーチャリング、商談まですべて一貫して非対面で行う場合もありますが、ナーチャリングした後、フィールドセールス(対面で行う営業活動)に移行するとより効果的です。

その場合は、顧客の情報をスムーズに共有できる体制を整備しておかなければいけません。さらに、どの段階でフィールドセールスに移行するのかあらかじめ決めておくと良いでしょう。

ステップ3 目標と計画の策定

ただ単にインサイドセールスに取り組むだけでは、理想的な成果は上げられません。

具体的な数値目標を決めることで、成果を評価しやすくなり、モチベーションも上がります。さらに、目標があることで営業戦略やインサイドセールスの取り組み計画も立てやすくなるでしょう。

具体的な数値目標の例としては、KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)が上げられます。KPIとは、企業が目的を達成するための具体的な業績評価の指標のことです。

KPIは業種によって大きく異なり、それぞれの企業が目的に合わせて独自に設定します。例えば、営業部門におけるKPIとしては以下のようなものがあります。

  • リード獲得数
  • リードの成約数
  • アポイントメント獲得率
  • 顧客単価

参考:野村総合研究所 用語解説「KPI」

ステップ4 見込み顧客の育成

インサイドセールスの体制がある程度整ってきたら、実際に見込み顧客の育成を始めましょう。

見込み顧客の育成段階では、とにかく顧客一人ひとりに適した情報を提供することが重要です。電話等で顧客が抱えている課題やニーズ、興味がある分野を聞き取れると良いでしょう。

購買意欲がそれほど高くない段階では、無理に商談や購買促進をするのではなく、情報提供から始めて徐々に購買意欲を高められるよう工夫しましょう。また、顧客が資料請求等をした場合は、資料の内容をより深く説明したり、関連した資料を追加で渡したりするのも効果的です。

ステップ5 対面での営業活動に移行

見込み顧客の中でも、特に購買意欲を示している顧客に対しては対面での商談を実施してみましょう。

対面での営業活動はフィールドセールス担当者に任せることになるため、必要な情報はすべて共有してください。インサイドセールスの段階で顧客のニーズを正確に把握し、より多くの情報を提供しておくと商談の成功率が上がるでしょう。

インサイドセールスの段階で時間をかけて見込み顧客を育成しておくことで、フィールドセールスの成功率が上がり、営業活動を効率化できるのです。

効率よくインサイドセールスに取り組む3つのポイント

インサイドセールスの効率を上げるためのポイントを3つ紹介します。

  1. 社内連携の強化
  2. セールステックの活用
  3. 定期的な取り組み見直しと改善

①社内連携の強化

インサイドセールスに取り組む前に、社内での連携を強化しておく必要があります。

特に、インサイドセールスとフィールドセールスを両立させる場合は、両者での連携は必須です。顧客情報の共有はもちろん、常に連絡を取れる体制を整備しておきましょう。

また、インサイドセールスの取り組みを社内全体に共有し、様々な部署から協力を得られるようにしておくことも重要です。新たなことに取り組む場合はイレギュラーも発生しやすいため、社員全体の協力が不可欠です。

②セールステックの活用

顧客情報の管理や分析には、セールステックの活用が効果的です。膨大な顧客データを人の手で管理し、分析することは難しいため、積極的に導入しましょう。

インサイドセールスにおいて活用できるセールステックは主に以下の3種類です。

  • MA(Marketing Automation)ツール
    見込み顧客の情報管理、行動履歴追跡、興味関心の分析が可能。メールやフォームの作成テンプレート、ポップアップ表示やプッシュ通知機能がある。
  • CRM(Customer Relationship Management)ツール
    顧客の情報管理に利用。他部署間での情報共有も可能。
  • SFA(Sales Force Automation)ツール
    営業活動の進捗を可視化できる。商談の進捗状況などが確認可能。

▶︎MAについてこちらの記事で解説しています>>

▶︎SFAについてこちらの記事で解説しています>>

▶︎CRMについてこちらの記事で解説しています>>

▶︎MA・SFA・CRMの違いの違いについてこちらの記事で解説しています>>

③定期的な取り組み見直しと改善

インサイドセールスをある程度進めたら、成果や進捗を定期的に把握しましょう。最初に設定した数値目標をどの程度達成できたか振り返ると、成果を評価しやすくなります。

思うように成果が上がらない場合は、改善できる点を見つけ、すぐに改善してください。また、成果が上がった場合は、特に効果的だった取り組みはどのようなものだったか把握し、その取り組みを継続しましょう。

どのような取り組みをするにしても、定期的な見直しと改善は必須です。常により良いパフォーマンスを実現できるよう、心がけましょう。

インサイドセールスに向いている企業・人材

インサイドセールスに向いている企業・人材の特徴を紹介します。

オンラインシステムが整備されている企業

すでに自社内でオンライン商談ツールやセールステックを導入している場合は、あまりコストをかけずにインサイドセールスを始められます。また、インサイドセールスであれば出社頻度も削減できるため、テレワークを推進している場合にもお勧めです。

オンライン商談ツールやセールステックを導入していない場合は、複数のツールを比較しながら検討しましょう。無料トライアルを利用してみると、導入後のイメージが湧きやすくなります。

セールステックの知識が豊富な人材

セールステックを導入するだけでは、成果は上がりません。適切なタイミングでセールステックを活用し、インサイドセールスに生かすことで成果が上がるのです。

セールステックやITに関する知識が豊富な人材がいれば、最大限セールステックを活用できるでしょう。また、ツールの運用につまずいた際や、困ったことがある場合もすぐに対応でき安心です。

▶︎DX人材についてこちらの記事で解説しています>>

▶︎DX人材の育成方法についてこちらの記事で解説しています>>

オンライン上でも円滑にコミュニケーションをとれる人材

インサイドセールスでは非対面でコミュニケーションを図ります。実際に顔を合わせなければ、相手のニーズや購買意欲をくみ取るのは難しいかもしれません。

そのような状況でも、円滑なコミュニケーションをとれる人材がいる場合、スムーズに営業活動が進みます。特に、電話対応に慣れている人材がいると非常に有利でしょう。

限られた人材で営業活動を実施する場合は、社員一人ひとりの特性を踏まえ、割り振るべき業務を見極めましょう。最適な役割分担こそがインサイドセールスの鍵です。

まとめ

今回は、インサイドセールスの手法を5ステップに分けて紹介しました。インサイドセールスに取り組む際は、充分に体制を整えたうえで徐々に段階を踏みつつ進めていきましょう。

また、顧客一人ひとりのニーズや課題・興味関心がある分野を把握し、時間をかけて顧客と向き合うことが重要です。この記事で紹介したステップを参考に、インサイドセールスに取り組んでみてください。

▶︎DXについてこちらの記事で解説しています>>

▶︎DXの進め方についてこちらの記事で解説しています>>

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