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2021.10.01

DXの必要性4つ《初心者必読》|3つの成功事例や推進方法も徹底解説

最終更新日:

DXの必要性についてのアイキャッチ画像

この記事を読んでいる方の中には、「DXの必要性について知りたい」と思っている方が多いのではないでしょうか?

DXの必要性を理解できれば、

・決裁者を説得してDXを推進できる
・DX推進の本質もつかめる

というメリットがあります。

そこで今回は、「DXが必要な4つの理由」を初心者の方でもわかりやすいように解説していきます!

また、DXの必要性を理解したあとは実際にDXを推進したい方向けに、DXを推進する3つの重要ポイント成功事例もあわせて解説します!

DXとは?

DXの必要性を解説する前に、まずは「DXの定義」と「DXとIT化の違い」について解説します。

DXの定義

DX(デジタルトランスフォーメーション)はスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した

「人間の生活に何らかの影響を与え、進化し続けるテクノロジーであり、その結果人々の生活がよい方向に変化する」

という概念です。

また、日本経済産業省は2018年に

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

と定義しました。

このように、「DXはデータやデジタル技術といったテクノロジーの力を企業が利用して競合優位性を獲得し、顧客や社会を豊かにすること」と定義されています。

▼DXについて詳しく知りたい方はこちら

DXとIT化の違い

DXとIT化を混同されている方が多いため、解説します。

  • DX:テクノロジーを活用した業務プロセスそのものの変革、プロダクト・サービスや事業・経営の変革
  • IT化:テクノロジーを活用した既存事業の効率化

となります。つまり、

  • DX:情報やデジタル化を「手段」として、製品・サービス・ビジネスモデルの変革を進めるもの
  • IT化:業務効率化などを「目的」として、情報やデジタル化を進めるもの

ものといえます。

このように、DXとIT化は一見すると同じに見えますが、実は全く意味は異なります。

▶DX化とIT化の違いの違いについてはこちらの記事でも詳しく解説しています>>

DXが必要な4つの理由

DXが必要な理由は以下の4つです。

  1. 「2025年の崖」に直面する恐れがあるため
  2. 従業員が働きやすい環境をつくるため
  3. ビジネス環境の変化に対応するため
  4. 既存システムには多くのリスクがあるため

それぞれ解説していきます。

1.「2025年の崖」に直面する恐れがあるため

2018年9月7日に経済産業省が発表した「DXレポート:ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開」(略称:DXレポート)の中で、多くの日本企業が「2025年の崖」に直面していると指摘されました。

もしDXが実現できなければ、2025年以降最大で年間12兆円の経済損失が生じると予測されています。その一方で、もしDXが実現できれば2030年に実質GDP130兆円超上げられるとも述べられています。

既存のレガシーシステム(過去の技術や仕組みで構築されたシステムのこと)の延長では企業の成長に限界が見えている中で、いかに早くDX戦略を立てて損失を最小化させ、市場の敗者を回避できるかについて考えることが日本企業にとって重要です。

▶「2025年の崖」の概要や企業単位の改善策は、こちらの記事で詳しく解説しています>>

2.従業員が働きやすい環境をつくるため

DXの導入により既存業務のデジタル化が進むと、従業員の生産性や業務効率が向上するため、従業員の働く環境の改善につながります

例えば、従来は紙で決裁や承認作業をすることが一般的だったため、数分で終わる作業のために決裁者・承認者はわざわざ出社する必要がありました。

しかし、これらの作業をデジタル化することで、「担当者不在のため承認が進まない」といった事態がなくなりスムーズに物事を進められるだけでなく、担当者の出社の負担も削減できました。

このように、DXの導入により従業員の労働環境を改善できるため、必要性が高まっています。

▶DXと働き方改革の関係性とは?実現までの4つのステップから事例まで紹介>>

3.ビジネス環境の変化に対応するため

DXの推進はビジネスチャンスの拡大につながるため、DXの導入が必要といえます。

例えば、新幹線のチケット購入をオンライン上で完結できるシステムが挙げられます。

従来はみどりの窓口でチケットを購入する必要がありました。しかしオンライン化により、みどりの窓口が近くにない方や体が不自由な高齢者の方でも自宅でチケットの購入が可能になったため、顧客の層が拡大した(ビジネスチャンスが拡大した)といえます。

他にも事例は多数ありますが、このようにDXの導入はビジネスチャンスの拡大につながるのです。

4.既存システムには多くのリスクがあるため

長年使われてきたシステムには主に2つのリスクがあるため、DXの推進が必要です。

リスク1:サイバー攻撃やインターネット上に存在するウイルスの脅威にさらされる

これは、OS・ソフトウェア・ハードウェアのサポート期間が終了すすることで起きうるリスクです。

このリスクにより、個人情報の漏洩や機密情報の盗難につながり、企業の信頼を失う可能性が高まるため、早急に解決すべき問題です。

リスク2:既存システムの運用保守にコストがかかりすぎるため、IT人材の採用などに投資できない

経済産業省のレポートによると、企業のIT予算の90%以上が老朽化したシステムの維持費に消えています。

IT人材の採用やITを活用したビジネスモデル変革に投資できなければ、今後ますますDXの重要性が叫ばれる中で企業の優位性の維持が難しくなるでしょう。

このように、既存システムを使い続けることにはさまざまなリスクが存在するため、その解決策としてDXの導入が必要といえます。

DX導入による3つのメリット

DX導入によるメリットは3つあります。

  1. 生産性・業務効率の向上
  2. 新たなビジネスの創造
  3. 既存システムを使い続けるリスクの回避

それぞれ解説していきます。

1.生産性・業務効率の向上

DXは生産性・業務効率の向上につながるというメリットがあります。

ここで具体例を2つ挙げます。

例1:RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用により、事務作業の自動化を実現
例2:MA(マーケティング・オートメーション)を活用し、顧客へのメール配信や顧客の優先度を順位化することで、効率的なマーケティング活動を実現

このように、DXの導入は業務効率の向上につながります。

2.新たなビジネスの創造

DXの導入はどうしても業務の効率化に注目がいきがちですが、実は新たなビジネスの創造にもつながります。

ここで具体例を2つ挙げます。

例1:曜日や時間帯などの条件に応じて、観戦チケット価格を変動させるダイナミックプライシング
→ダイナミックプライシングでは、膨大なビックデータを活用して消費者のニーズに合わせた最適な価格を提供するため、利益の最大化につながる
例2:患者が服薬するタイミングなどのデータを収集し、センサーで処方薬の飲み忘れを防ぐ(大塚製薬)
→病状の悪化を防ぐことで、医療費・介護費といった社会保障費の削減につながる
参考:「医療IoT」によって社会保障費の抑制を目指す!-世界初の「服薬支援システム」を開発

このように、DXの導入は既存業務の効率化だけでなく、新たなビジネスの創造という大きな可能性を秘めているのです。

3.既存システムを使い続けるリスクの回避

先で、既存システムの継続使用には2つのリスクがあると述べましたが、これはDXの導入により回避できます。

※2つのリスク
1.サイバー攻撃やインターネット上に存在するウイルスの脅威にさらされるリスク
2.既存システムの運用保守にコストがかかりすぎるため、IT人材の採用などに投資できないリスク

上記2つのリスクを解決するためには、老朽化や破損した既存システムを新しいシステムや同等の機能をもつ別のシステムに変更することが挙げられます。

このように、DXの推進により長年の機能変更などで複雑化した既存システムを刷新することで、リスクを回避できます。

DX導入による2つのデメリット

DX導入には、上記のようなメリットがある一方で、「結果が出るまで時間とコストがかかる」「大規模システムの刷新が困難」という2つのデメリットがあります。

それぞれ解説します。

1.結果が出るまで時間とコストがかかる

DXを推進する際、時間とコストがかかる点はデメリットです。

一般論になりますが、DXを始めた企業で目に見えた効果が現れるまでには平均で3年~5年程度の期間が必要といわれています。

また、DXを推進するためには、IT人材・ITツールなどへの大量な投資も必要です。

このように、DXを推進する際は結果が出るまで時間とコストがかかることは把握しておきましょう。

2.大規模システムの刷新が困難

業務フローの一部に大規模なシステムを導入している企業にとって、別のシステムに簡単に移行できない点はデメリットです。

そのため、まずはデータフォーマットの統一や簡単な業務効率化などからスタートし、その後も何ステップかに分けてDXを進める必要があります。

また、長年慣れ親しんだ業務フローを変更しようとすると、現場のメンバーに反対される可能性があります

そのため、DX実現後の効果を各部署に丁寧に説明し理解してもらうという地道な作業が必要になります。

このように、長年大規模システムを利用してきた企業にとっては特に、DXの実現に向けて大きな壁があることは事実です。

DXを推進する3つの重要なポイント

DXを推進するには3つの重要なポイントがあります。

  1. DXを推進するIT人材の育成
  2. ITシステムの構築
  3. 経営トップによる社内の組織改革

1.DXを推進するIT人材の育成

「DXを推進するIT人材が不足している」ことが日本のDX改革を妨げる原因の1つとなっているため、早急にIT人材を育成する必要があります。

ただ、DXを推進するためには、

・基礎的なIT知識
・データの重要性の理解
・UI・UX志向

などさまざまなスキルが必要であるため、社内に適任者がいない場合もあるでしょう。

その場合は中途採用をしたり、社内の人材にITスキルの研修を実施することで未来のIT人材を育成したりといった取り組みが必要です。

▶【DX人材】 6つの業種、4つのスキル、3つのマインドセットについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>

▶DX人材の育成方法や育成のポイントを詳しく知りたい方はこちら>>

2.ITシステムの構築

DXを推進するためには、各部署でバラバラなITシステムを社内全体で統一することが重要です。

なぜなら、各部署で異なるITシステムを利用していると部署間のデータ連携がうまくいかず、データのビジネスへの活用ができないためです。

具体的にどうやってITシステムを構築するかですが、以下3つの選択肢が想定されます。

・外部のベンダーにシステム開発を発注する
・既存の外部システムを新しく活用する
・自社でシステムを開発し運営する

どの選択肢であっても、外注費用やシステム利用費など、ITシステムの構築には多額のコストがかかることは留意しておきましょう。

3.経営トップによる社内の組織改革

DXの推進には現場(各部署)の協力はもちろん、経営トップのコミットメントも必須です。

なぜなら、DX成功のためには、経営トップが「DXでどのような価値を生み出し、どのようにビジネスを変革するのか」を明確にすることが重要であるためです。

経済産業省の「DX推進ガイドライン」でも経営トップのコミットメントの重要性が指摘されています。

▶DX推進ガイドラインついてはこちらの記事で詳しく解説しています>>

▶「DX推進」の概要や必要性、成功事例についてはこちらで詳しく解説しています>>

DX2つの成功事例

ここでは、DXの成功事例として「メルカリ」と「JapanTaxi(日本交通)」の事例を紹介します。

1.メルカリ

メルカリはフリマアプリとして多くの消費者に利用されており、今や日本の新たなインフラと化している企業です。

【DXの具体的な取り組み内容】

スマホ完結型サービスにシフト

メルカリが台頭する以前は、ヤフオク!などのネットオークション(CtoC)サービスが中心でした。

しかし、オークションはパソコンの使用が前提にあったため手軽さに欠けるというデメリッ
トがありました。

そこでメルカリは、ユーザーの環境変化に合わせてスマホ完結型サービスにすることで利用の心理的ハードルを下げ、手軽さを訴求しました。

簡単に出品・購入できる仕組みを構築

ユーザーにとって、スマホさえあれば簡単に出品・購入できる仕組みになっている点がメルカリの特徴です。

例)
・「匿名配送」:互いの氏名・住所がわからなくても商品を発送できる
・「らくらくメルカリ便」:あて名書き不要で手間なく発送できる
・「メルペイ」:ポイントを買い物に利用できる決済サービス

このように、メルカリはユーザーの使いやすさや利便性を考慮したサービス設計を実施しています。

【結果】

「フリマアプリといえばメルカリ」と言われるほどの認知度を獲得し、日本初のユニコーン企業(非上場で企業価値10ドル超のテクノロジー企業/21年現在では上場済み)となるまでに成長しました。

その後も順調に成長を続け、今やアプリダウンロード数は国内で8000万超、世界全体では1億を超えるダウンロード数を誇る(2021年時点)、国内フリーマーケット市場におけるリーディングカンパニーの一つとなっています。

2.JapanTaxi(日本交通)

JapanTaxiは、日本交通の情報部門からスピンオフしたITベンチャーです。

【DXの具体的な取り組み内容】

JapanTaxiは日本版のUberになります。

アプリを立ち上げて乗車場所を選択し「今すぐ呼ぶ」ボタンを押すだけで、周辺のタクシーを呼べるサービスです。さらに迎えにかかる時間・乗車前の料金相場も確認できます。

また、JapanTaxiにはJapanTaxi Wallet機能があり、タクシーの後部座席にあるタブレットのQRコードをアプリで読み取ると、目的地に到着する前に支払いを完了できます。

【結果】

顧客にとっては、急いでいる場合もスムーズに支払いを済ませられるためストレスフリーな体験を提供しているといえます。

日本交通や加盟店にとっては、運転手の現金管理や事務所での釣銭の確保といった作業の削減につながっています。さらに現金が盗まれるといった犯罪の危険性も抑制できています。

JapanTaxiは後部座席のJapanTaxiタブレットを活用し、新たな収益源として広告事業を始めています。

電車やバスでは一般的だった車載広告をタクシーの後部座席にも持ち込み、ビジネスマン向けの広告媒体として売り上げを伸ばしています。

また各車両から膨大な移動データを取得できるため、今後さまざまなビジネスを展開する土壌も育っています。

参考:ITreviewタクシー会社のITベンチャー「JapanTaxi」は、どんなスマート社会を目指すのか?

▶DXの成功事例はこちらの記事で詳しくまとめて解説しています>>

まとめ

今回はDXが必要な4つの理由やDX推進のポイントを、初心者の方でもわかりやすいように解説しました。

この記事を読んで「DXは必要だ!」と判断した方は、DX推進における具体的なステップを検討して実行していきましょう!

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