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2021.09.28

DXで働き方改革を実現するには?実現までの4つのステップから事例まで紹介

最終更新日:

「働き方改革が推進されている背景は?」
「DXと働き方改革の関係性とは?」
「働き方改革を実現するために導入すべきツールは?」

このように、DXと働き方改革の関係性について詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。

しかし、新型コロナウイルスの影響でテレワークを始めとする新たな働き方が注目されている今、生産性を上げて働きやすい環境を整えるにはIT技術によるDXが必要不可欠です。

この記事では、DXが必要な理由からDX支援企業サービスおすすめ15選まで解説します!

▼DXについて詳しく知りたい方はこちら

働き方改革が推進されている背景

働き方改革が推進されている背景は4つあります。

  1.  労働力人口の減少
  2.  出生率の低下
  3. 低い労働生産性
  4. 新型コロナウイルスの影響

それぞれ解説していきます。

 労働力人口の減少

現代社会では労働者不足が大きな問題となり、特に中小企業では人手不足が深刻化しています。

少子高齢化による労働人口の減少が今後も加速すると予測されているだけではなく、長時間労働・残業による悪質な職場環境による離職も改善の必要があります。

 出生率の低下

出生率低下の原因として、女性が育児・仕事を両立するのが難しい労働環境が挙げられます。第2次ベビーブームが起こった1970年代に約2.1だった合計特殊出生率は、2005年には過去最低となる1.26を記録しました。

そのため現在では、育休制度の普及・取得促進など多数の企業で取り組みが進められています。

低い労働生産性

2017年の日本の1時間当たりの労働生産性は47.5ドルで、OECD加盟36カ国では20位、先進7カ国では最下位です。

これを重大であるととらえ、生産性の高い人間の行動・パターンを共有化・形式化するコンピテンシーを考える重要性が叫ばれています。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの影響により、労働環境は以前に比べて大きく変化しました。その代表例がテレワークです。

出社せず在宅での勤務が可能になり、通勤時間削減によるワークライフバランスの向上・オフィスコスト削減などの効果をもたらしています。

DX推進が必要とされている4つの理由

DX推進が必要とされている理由は4つあります。

  1. 2025年の壁問題
  2. 利益・顧客体験の向上
  3. 人材不足の解消
  4. グローバル化への対応

それぞれ解説していきます。

2025年の壁問題

2025年の崖は経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」の言葉を引用したものです。

現在21年以上使われている基幹系システムが全体の2割であるのに対し、2025年では6割に上り、システムの維持管理費が高額化・IT予算の9割以上を占めると予測されています。

また、これらの課題を克服できない場合、2025年以降最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があります。このため、2025年までの既存システムの抜本的改革・運用改善が必要不可欠です。

▶2025年の崖についてはこちらの記事で詳しく解説しています>>

利益・顧客体験の向上

DX推進は利益・顧客体験の向上につながります。新型コロナウイルスの影響で、非対面の業務プロセスの確立が求められるなどデジタル化への関心がさらに高まっています。

以下はパンデミック後のデジタル化への意識を調査した結果です。

2019年には42%だったオンライン利用率はパンデミック後60%に増加し、以前より高いデジタル技術が求められていることが分かります。

利益・顧客体験向上は他企業との差異化・競争力アップのために必要不可欠な要素であり、DXを加速させる大きな目的です。

人材不足の解消

DX推進は人材不足解消に繋がります。例えば、RPA活用によって人事業務・顧客対応を自動化すれば、人員を削減できます。

また、RPAは定型業務(流れが決まっている業務)の場合を得意とし、イレギュラーな対応が必要な業務には向いていません。DXが可能な領域を上手く効率化することが求められています。

▶【DX人材】 6つの業種、4つのスキル、3つのマインドセットについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>

グローバル化への対応

日本では諸外国に比べDXの動きがまだまだ進んでいません。ICT技術の発達で情報の送受信は円滑になり、競争環境は以前より強くグローバル化の影響を受けています。

この背景から、企業が国際的な競争力をつけるためには、DXを積極的に推進・新たな価値の創造が必要不可欠となっています。

DXと働き方改革の関係性とは?

DX推進指標を活用すれば、自社のDXがどの程度進んでいるのか自己診断できます。

DX推進指標は2018年9月に発表した「DXレポート」における指摘をふまえ、経営者・関係者がDXの推進に向けた現状や課題に対する認識を共有し、どのように推し進めていくべきか理解することが目的です。

各項目について、経営幹部・事業部門・DX部門・IT部門などが議論をしながら回答することを想定しています。

▶DX推進ガイドラインとは?DX担当者は知っておきたい3つの要点を知りたい方はこちら>>

DX推進指標の内容

以下はDX推進指標の内容を表したイメージ図です。

具体的には、以下の2つから構成されます。

  • DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標 

DX推進の枠組み」(定性指標)、「DX推進の取組状況」(定量指標)

  • DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標

ITシステム構築の枠組み」(定性指標)、「ITシステム構築の取組状況」(定量指標)

▶DX推進指標についてはこちらの記事で詳しく解説しています>>

DX推進の枠組み

DX推進の枠組み(定性指標:特定の目標に向けた進捗レベルを決定するための非数値的要因)では、ビジョン・経営トップのコミットメントから事業への落とし込みまでDX推進のための経営のあり方、仕組みを示しています。

DX推進の取り組み状況

この項目では、自社の DXによる競争力強化の到達度合い・DXの取り組み状況を定量指標(数値を基にした評価)として把握できます。

ITシステム構築の枠組み

ITシステム構築の枠組みは「ビジョン実現の基盤としてのITシステムの構築」と「ガバナンス・体制」に分かれています。前者では、ITシステムに求められる要素・IT資産の分析・仕分けまでを細部に分割して評価します。

後者では、データ活用の人財連携などDX推進のための会社構造レベルを診断します。

ITシステム構築の取り組み状況

この項目ではITシステム構築の取り組み状況を具体的な数値で評価します。

以上の4項目を総合的に診断すれば、「DXで顧客に対しどのような価値を創出するか」「なぜ、その改革が必要か」「DX実現のために経営体制をどう変革するか」の具体策・アクションプランを社内共有できます。

働き方改革とDX推進の実現にむけた4つのステージ

以下は企業の経営課題である働き方改革とDXの推進の実現に向けたアプローチを4つのステージとして整理したイメージ図です。

自社の状況が以下の4つのステージのどこにあたるか・どのステージをいつまでにどのような方法で目指すのか社内で共通認識・推進が重要です。

1.ロケーションフリー(どこでも仕事ができる環境を整え、感染リスクを低減し事業継続を実現)

2.情報共有/連携(必要な情報が必要な時にセキュリティが担保された状態で入手・活用可能、事業上で必要な情報の流通を実現)

3.生産性の向上(業務プロセスのデジタル化で、組織間がシームレスにプロセス連携・可視化されたプロセス、KPIをベースにしたPDCAで生産性を向上)

4.全社横断のDX実現によるビジネスの拡大(DXや働き方改革を実現して事業活動を変革し、データドリブン型経営推進によってビジネスを拡大)

▶「DX推進」の概要や必要性、成功事例についてはこちらで詳しく解説しています>>

DX×働き方改革の代表例「テレワーク」の効果と今後

以下のイメージ図は、企業にとってのテレワーク導入の効果をまとめたものです。

テレワークの効果は以下の5つのカテゴリーに分けられます。

1.業務生産性向上(例:テレワークを活用し、顧客からの問い合わせに迅速に対応)

2.新規雇用・離職防止(働きやすい環境整備で離職防止・優秀な人材の採用がしやすくなる)

3.社員のワークライフバランス向上(例:通勤に必要だった時間を健康管理のための睡眠、家族と共に過ごす時間に利用)

4.コスト削減・節電(オフィス・関連コスト削減)

5.事業継続性確保(在宅勤務では非常事態が発生しても在宅勤務で事業継続が可能)

テレワークには導入効果だけでなく、さまざまな課題もあります。日本労働組合総連合会(連合)が2020年6月に行った調査では、コミュニケーション・業務効率・時間管理などに課題があることが分かりました。

社内コミュニケーション・従業員管理をどう成功させていくかが、テレワークのメリット活用のために重要です。

DXで働き方改革を進めた実例紹介

DXで働き方改革を進めた実例は3つあります。

  1. 大企業「ソフトバンク:データ入力の自動化で業務負担軽減・月200時間  削減」
  2. 中小企業「日進工業株式会社:MCM System開発で稼働率40%アップ」
  3. 海外「Shake Shack:自動注文端末とオンライン注文システムでスタッフの手間を効率化」

大企業「ソフトバンク:データ入力の自動化で業務負担軽減・月200時間削減」

  • 以前は依頼書の内容を専用のシステムに手入力・毎月6000件近くを10人で対応
  • →入力ミスや処理スピードの差があるなどの課題
  • 携帯を落とした時に届く「落とし物通知依頼書」の処理をDX化・担当者を1人に削減

引用:キャッシュレス×DXマガジン公式ホームページ「デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功事例15選と成功のポイント」

中小企業「日進工業株式会社:MCM System開発で稼働率40%アップ」

  • 製造ラインの稼働状況を見える化するためにMCM Systemを開発
  • モニターで稼働率・停止状況把握可能になり、生産性の低いラインの洗い出しに成功
  • 稼働率を50%から90%まで引き上げた
  • 稼働率を正確に把握することで、受注できる数も的確に判断

引用:カイクラmag公式ホームページ「中小企業がDXを推進するべき理由と成功事例、必要な準備まとめ」

海外「Shake Shack:自動注文端末とオンライン注文システムでスタッフの手間を効率化」

  • 注文にかかる顧客とスタッフの手間を効率化するため、自動注文端末とオンライン注文システムを導入。
  • →人件費の大幅な削減・顧客単価の15%向上

引用:Techro公式ホームページ「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?成功事例40選とポイント解説」

働き方改革を実現するために導入すべきツール5選

ここからは、働き方改革を実現するために導入すべきツールを5つ紹介します。

  1. UiPath|RPA活用で簡単に業務の流れをシナリオ化
  2. Autoブラウザ名人|ルーチンワーク自動化で業務を効率化
  3. Extension Power|オフィス電話の取り巻く環境をレベルアップ
  4. FreshVoice|最大200拠点を同時に接続できるWeb会議システム
  5. Googleworkspace|リモートワークに最適なツールを1つのパッケージに

それぞれ簡単に解説していきます。

▶関連記事|DX導入のメリットとは?参考にしたい事例や導入ステップを解説!>>

 UiPath|RPA活用で簡単に業務の流れをシナリオ化

 導入で得られるメリット

  • 自動化ツールを開発する環境提供
  • アクティビティ(動作)をドラッグ&ドロップ簡単にロボットでの業務の流れを構築
  • 従業員250名/台未満・年商約5億円未満の企業は無料で利用

導入がおすすめな企業

  • RPAに関する知識が薄い企業
  • 従業員250名/台未満・年商約5億円未満の企業

Autoブラウザ名人|ルーチンワーク自動化で業務を効率化

導入で得られるメリット

  • インターネットエクスプローラーの起動・取引先のWebサイトへのアクセスなどを自動化
  • →インターネットを介した取引先とのデータ交換が飛躍的に効率化
  • Excel・Windowsアプリケーションを利用した業務の自動化も可能

導入がおすすめな企業

  • 業務量を削減したい企業
  • 事業継続性(BCP)を確保したい企業

Extension Power|オフィス電話の取り巻く環境をレベルアップ

 導入で得られるメリット

  • 既存の社内ポータルサイトを無改修でCTI化
  • 多機能電話機をクリックだけで簡単操作
  • あらゆるWebサイト上の電話番号から発信操作
  • アドレス帳を統合管理して社内外のコミュニケーションをスムーズに

導入がおすすめな企業

  • テレワークでも利益機会損失を防ぎたい企業
  • 低価格で社内のサイトをCTI化したい企業
  • オフィス電話環境を便利にしたい企業

FreshVoice|最大200拠点を同時に接続できるWeb会議システム

 導入で得られるメリット

  • 銀行・保険会社・官公庁などで利用される強固なセキュリティ
  • 高画質・高音質で手軽にオンラインミーティング
  • 14日間の無料トライアル可能

導入がおすすめな企業

  • 強固なセキュリティ化のオンライン会議を開催したい企業
  • 働き方改革・業務効率化・コスト削減を推進したい企業

 Googleworkspace|リモートワークに最適なツールを1つのパッケージに

導入で得られるメリット

  • Gmail・カレンダー・ドキュメントなどのツールをビジネス対応
  • メッセージプラットフォームHangouts Chat・ビデオ会議ツールHangouts Meetも使用可能
  • Basicは1ユーザー ¥680/月。コストパフォーマンスが高い

導入がおすすめな企業

  • 低コストでビジネス対応ツールを活用したい企業

まとめ

今回はDXと働き方改革の関係性について解説しました。働き方改革を推進するためには、DXの力を活用・業務負担軽減や効率化を重点的に進めていかなければなりません。

自社課題を整理し、DX推進のためのアクションプランを作成しましょう!

DXの進め方とは?参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントについて解説した記事はこちら>>

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