この記事を読んでいる方の中には「AIエンジニアになりたいけど、難しいと聞くから不安だ」と思う方もいるのではないでしょうか?
確かにAIエンジニアは、数学の知識やAIに関する高い専門性が求められることから難しそうな印象を受ける方も多いでしょう。しかし今、AIエンジニアは世界的に注目を集めており、今後ますます需要が伸びていく職業です。
そこで本記事では、「AIエンジニアは難しい」と言われる6つの理由、向いている人の特徴やAIエンジニアになるためのステップも合わせて解説します。
▼AIエンジニアについて詳しく知りたい方はこちら
目次
AIエンジニアとは
AIエンジニアとは、機械学習システムの設計・構築をするAI専門のエンジニアのことです。
さまざまなデータをAIに与え、それを処理させAIを教育することがAIエンジニアの仕事であり、「機械学習」を効率的に行えるよう設計する能力が求められます。
また、機械学習には「Python」というプログラミング言語が最も使用されており、多くのAIエンジニアがPythonを活用してAIを開発・アップデートしています。
データサイエンティストとの違い
AIエンジニアと区別が付きにくい職業として「データサイエンティスト」があります。
データサイエンティストとは、さまざまな意思決定の局面において、データに基づいて課題を解決する職業です。AIエンジニアが、機械学習システムの設計・構築をするのに対し、データサイエンティストは、機械学習システムを駆使してデータを分析し、依頼者の課題を解決していきます。
データサイエンティストになるためには、統計学、プログラミング、そして機械学習に関する知識が必要です。また技術面だけではなく、ビジネスや市場トレンドなどの幅広い知識も求められます。
▶初心者でもわかる!データサイエンティストとは −仕事内容、スキル、勉強法、資格まで徹底解説
SEとの違い
エンジニアで区別が付きにくいもう1つ職業として「SE(システムエンジニア)」があります。同じITエンジニアに属する職種ですが、仕事内容や求められるスキルは異なっています。
SEは、システム開発において、クライアントへのヒアリングから、要件定義・設計・仕様書作成までの工程を主に担当する職業です。
技術面を理解した上で、システム全体を設計する力が求められます。
AIエンジニアが難しいといわれる6つの理由
AIエンジニアは、AIに関する幅広い知識・高い専門性が求められるため、なるのが難しいといわれています。では、具体的にどのような点が難しいのでしょうか。
AIエンジニアが難しいといわれる理由は以下の6つです。
それぞれ解説します。
1. 論理的思考力が必要だから
AIエンジニアを目指すのであれば、論理的思考力は必須スキルといえます。
AIエンジニアはデータを扱うことが多く、収集・分析するにあたって、必要な作業や方法を細かく分解し、実行する能力が求められます。
そのため、日頃から物事を論理的に考える癖を付けておくと良いでしょう。
2. 技術進化が早いから
AI関連の技術トレンドは日々変化していきます。
AIは専門性が高く、技術はどんどん進歩していくため、最新情報を常にキャッチアップする必要があります。そのため、意欲的に学習できなければAIエンジニアとして働くのは困難です。
このような変化についていけず、挫折してしまう人が多くいるのが現状です。
3. 仕事に必要な知識が多いから
AIエンジニアは、非常に幅広い知識が求められます。
例として、機械学習・ディープラーニングやプログラミングスキル、関連ライブラリの知識。データベース操作の知識やデータ分析、統計学などといった高度な数学の知識などが挙げられます。
業務をするにあたり、これらの知識をしっかりと押さえておく必要があります。
4. AIの概念が複雑だから
AIの概念が複雑である点が、AIエンジニアになることを難しくしています。
AIを「人間のような知能を持ったコンピュータ」と捉えても問題ありませんが、AIの概念は明確に定義されていないというのが現状です。
そのような曖昧さが、AIへの理解を深めることを難しいものとしています。基本的なことは理解できても、AIを開発するまでの技術を身に付けるには深い知識が必要になります。
5. 理数系の素養が必要だから
AIエンジニアは情報を数学的に解析するため数学の素養も必要です。
AIは、複雑な機械学習アルゴリズムは数式の上に成り立っており、理解するためには微分積分・線形代数・確率統計などの高度な数学的知識が必要不可欠です。
そのため、AIに特化した学科や専攻を置く専門学校、または理系大学でデータサイエンスや統計学などの専門知識を身に付けておくことが大切です。
6.クライアントへのプレゼンスキルが必要だから
AIエンジニアは、クライアントへのプレゼンをすることもあります。
クライアントはAIに関する知識を備えている訳でないため、理解してもらうために難しい内容を簡単にわかりやすく伝える力が求められます。
しかし、AIに関する複雑な内容を言語化して伝えるのは苦労するため、この点もAIエンジニアが難しいと言われる要因です。
AIエンジニアは難易度が高い分、年収も高い
AIエンジニアは、他のIT関連のエンジニア職に比べても難易度が高いため、その難易度と比例して年収も高く設定されています。
求められるスキルの幅が広く、高度な知識やノウハウが求められるため、需要に対して供給が追いついていない現状があります。
では、実際にどれくらい給与が高いのか「年代別の平均年収」と「実際の求人例」を元に紹介していきます。
AIエンジニアの年代別平均年収
年齢 | 年収 | 月額給与 |
20~24歳 | 570万円 | 36万円 |
25~29歳 | 660万円~710万円 | 44万円 |
30~34歳 | 680万円~780万円 | 49万円 |
35~39歳 | 786万円~890万円 | 56万円 |
40~44歳 | 879万円~1,000万円 | 63万円 |
45~49歳 | 998万円~1,120万円 | 70万円 |
50~54歳 | 1,090万円~1,200万円 | 75万円 |
55~59歳 | 1,080万円~1,190万円 | 74万円 |
60~65歳 | 710万円~1,190万円 | 51万円 |
(参照:平均年収.jp )
令和1年度(2020年)の全職種の平均年収は、436万円でした。
一方、AIエンジニアの前年代の平均年収は752万円であり、全職種の平均年収に比べて約1.7倍(316万円)も高いことがわかります。
AIエンジニアの求人例
企業名 | 年収 |
株式会社カカクコム | 500万円~1,000万円 |
リクルート | 580万円~1200万円 |
株式会社AIメディカルサービス | 500万円~700万円 |
株式会社DeNA | 340万円〜1500万円 |
グローバルロボット事業 | 平均750万円 |
株式会社ギークリー | 平均700万円 |
株式会社エニグモ | 平均年収750万円 |
株式会社 リクルートテクノロジーズ | 平均年収900万円 |
ネクストエンジニアリング株式会社 | 平均年収700万円 |
(参照:平均年収.jp)
AIエンジニアの求人を見てみると、新卒でも年収500万円以上に設定している企業も多くあり、実力次第では年収1000万円も十分に目指せます。
近年AIエンジニアの需要の高まりと共に、年収は上がり続けている状況です。
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AIエンジニアに向いている人の特徴
AIエンジニアに向いている人の性格や適性を知ることで、自分にAIエンジニアが向いているかを考える参考になります。
AIエンジニアに向いている人の特徴は以下の通りです。
それぞれ解説します。
論理的思考力がある人
AIエンジニアに向いている人は、論理的思考力がある人です。
論理的思考力は、データ構造や基本的なアルゴリズムを理解する上で必須スキルといえます。また、数学や統計学を使用する際にも役立ちます。
そのため、論理的思考力があれば業務に柔軟に対応でき、早いスピードで成長できます。
最先端の技術を学ぶことが好きな人
AIエンジニアに向いている人は、最先端の技術を学ぶことが好きな人です。
AI関連の技術トレンドは日々変化していきます。常に進歩は続くため、最先端の技術を学ぶというのはワクワクするものです。
このことから、新たなAIやビジネスモデルを常に考え、最先端の技術を追求したいタイプの人はAIエンジニアに向いているといえます。
新たな価値を生み出したい人
新たな価値を生み出したい人はAIエンジニアに向いているといえます。
AIは発展段階にあるため実力次第では、まだ世の中に存在しない新たな価値を自分自身で生み出すことだって可能です。
AI開発では、常に「どうすればより良くなるのか」を考えながら取り組む必要があります。そのような思考を実社会に置き換えて考えられる人に適しています。
AIエンジニアになるために必要な4ステップ
では、AIエンジニアになるためにはどのようなステップを踏めば良いのでしょうか。
AIエンジニアになるために必要なステップは以下の通りです。
それぞれ解説します。
1. AI開発に使えるプログラミング言語を学ぶ
AIエンジニアになるには、業務で使用するプログラミング言語を学ぶ必要があります。
AIエンジニアの仕事で使われるプログラミング言語はさまざまですが、Pythonが最も使用されています。Pythonは今、もっとも注目されている人気の言語の1つです。
DX推進の1つの鍵となっている「AI関連」の開発や機械学習にPythonが利用されていることが人気を集めている秘訣です。
2. オリジナルのアプリケーションを作成する
プログラミング言語を学んだら、次のアクションとしてオリジナルのアプリケーションを作成しましょう。プログラミング言語を覚えるだけでは、実務に繋がってきません。
そのため、実践的なスキルを高めるために簡単なものから作成することをおすすめします。
ただアプリを開発してみたいという心持ちでは続かないので、ぜひ何か自分で作りたいアプリのイメージを持っておきましょう。
そして、その上でそのアプリが実現する顧客体験や動線設計やデータの持ち方などもドキュメントに落としておくと開発がしやすいです。
3. ポートフォリオをまとめる
いくつかアプリケーションを作成したら、ポートフォリオをまとめましょう。ポートフォリオとは、自分の実績や能力を示すためのものです。
エンジニア経験者の場合は、今までにどんなプロジェクトに参加したか、どんなアプリやサービスを作成したのかを話すことで、企業側にエンジニアとしてのレベルを測ってもらえます。
しかし、エンジニア未経験者の場合は実務経験がないため、会話だけではどの程度のレベルであるか、プログラミングを理解しているのかを判断するのは困難です。
例として「アプリを公開する」「GitHubでソースコードを公開する」「技術ブログを運営する」などが挙げられます。
4. ポートフォリオを元に就職・転職先を探す
最後に、ポートフォリオが完成したら自分のスキルや要件にあった求人を探しましょう。
ポートフォリオの内容が、就職・転職の成功に大きく関わってきます。内容が充実していれば、企業に興味を持ってもらえる可能性が高くなります。
そのため、より良いポートフォリオを用意し、自分のスキルやバイタリティをアピールする材料として最大限生かしましょう。
AIエンジニアの学習で挫折しないためのポイント
AIエンジニアになると決めたのであれば、挫折しないで学習を進めたいと考えるでしょう。では、どうすれば挫折を防げるのでしょうか。
AIエンジニアの学習で挫折しないためのポイントは以下の通りです。
それぞれ解説します。
人に聞ける環境を作る
AIエンジニアの学習を独学で進めてしまうと、人に聞けば数秒で解決するようなエラーに長い時間をかけてしまうことがあります。そのような時間は非常にもったいないです。
また、思うように学習が進まないことが原因で挫折する可能性が高まります。そのため、人に聞ける環境を作れば、挫折の心配なく効率的に学習を進められます。
人に聞ける環境を作るための例として、以下の4つが挙げられます。
- プログラミングスクールを活用する
- 勉強会に行く
- イベントに参加する
- 知り合いのエンジニアの力を借りる
このような環境に身を置き、仲間と楽しく学習を進めることをおすすめします。
難易度が高く継続が困難なことを覚悟する
AIエンジニアは、他のIT関連のエンジニア職に比べても難易度が高いことは間違いありません。
求められるスキルの幅が広く、高度な知識やノウハウが求められます。そのため、AIエンジニアになると決めたからには、学習意欲を保つための相当な覚悟が必要です。
AIエンジニアの必要スキルは以下のようなもの挙げられます。
- AI開発のプログラミング
- 数学的な知識
- データ解析
- 機械学習アルゴリズムやディープラーニング
実際に学んでみて、興味を持てるかを判断すると良いでしょう。
AIエンジニアになる目的を作る
AIエンジニアになると決めたのであれば、挫折しないためにも明確な目的を作りましょう。
目的を作らなければ、自分がどの方向に進んでいるのか・今やっていることが何に繋がるのか分からなくなってしまいます。逆に目的を作ることで、目的達成のために今すべきことが明確になり、進むべき方向を見失わずに学習を進められます。
プログラミングなどのスキルは、あくまで目的を達成するための手段です。AIエンジニアとして成し遂げたい目的を作りましょう。目的が作れたら、その目的に対する理由を考えることで、目的がさらに明確化されます。
▶AIを開発できる言語5選|おすすめの言語から開発する手順まで解説!
AIエンジニアの将来性
結論として、AIエンジニアの将来性は明るいといえます。
AIは今や、ビジネスを有利に進めるための手段として一般的になりつつあります。AIを活用することで、業務を効率化し、利益を最大化できます。
経済産業省の調査によると、日本のAI人材の需要と供給の差(需給ギャップ)は約4.4万人不足していると言われており、2030年度までには約12.4万人の不足に上ると予測されています。
AI市場の拡大に伴い、AIエンジニアの需要も今後ますます伸びていくとされています。
まとめ
本記事では、難しいと言われる6つの理由や向いている人の特徴、AIエンジニアになるためのステップも合わせて解説しました。
AIエンジニアは世界的に注目されている職業であり、需要の高い職業です。
日本の全職種の平均年収より1.5倍以上も平均年収が高く、年収1000万円以上の報酬をもらえる可能性もあるので、非常に夢のある職業といえます。
幅広い知識・高い専門性が求められるため、難しいですが頑張り次第で目指せます。興味のある方はぜひ挑戦してみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました!