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2022.01.20

AIの法律上の注意点は?|責任は誰がとるのか・著作権はあるのか

最近AIに関する法律が改正され、AIの法律上の注意事項などを知りたい、という方も多いのではないのでしょうか。

そこで、今回はAIに関する法律について紹介していきます。

AIとは

まず、AIとは何なのかについて紹介します

”AIとは人工知能(Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス))の略称。コンピューターの性能が大きく向上したことにより、機械であるコンピューターが「学ぶ」ことができるようになりました。それが現在のAIの中心技術、機械学習です。”

出典:(AIってなに?:文部科学省 (mext.go.jp)

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AIの危険性

最近はAIを活用した事業の展開も増えてきています。そこで問題となるのが、AIが人や他の事業者に損害を与える可能性を完全に否定することはできないということです。

もしAIが他者に危害を加えた時、どのような法律問題として対応するべきなのでしょうか。また、責任の所在はどこにあるのでしょうか。

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AIに関する日本の法律

日本の法律は、AIに対してどのような対応を示しているのでしょうか。以下では、具体的な事例を2つ紹介します。

不正競争防止法の改正

改正不正競争防止法は、2019年7月1日に施行がありました。

以前までは、特許法や著作権法の保護対象とはならないもの、あるいは不正競争防止法の「営業秘密」に該当しないものであった場合、不正な流通の防止が困難でした。

そこで、一定の価値あるデータの不正取得行為や不正使用行為等、悪質性の高い行為に対する民事措置(差止請求権、損害賠償額の推定等)が規定されました。

著作権法の改正

従来の著作権法では、「情報解析」を自ら行うのであれば、著作物を利用することが可能でした。しかし、「情報解析」の表現には、ディープラーニングを含む機械学習が含まれると考えられていた一方で、法律には明記されていませんでした。

そのために著作権侵害の問題が発生してしまうこともありました。著作権法改正により、「情報解析」の定義が設けられたことで、「情報解析」にはディープラーニングを含む機械学習も含まれることが法文上、明確になりました。

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AIに関する海外の法律

次に、海外の事例について紹介します。

アメリカでの事例

ホワイトハウスは 2016 年 10 月に『PREPARING FOR THE FUTURE OF ARTIFICIAL INTELLIGENCE』 を発表しました。

これは法律ではなく報告書ですが、公共利益のための人工知能の応用、連邦政府における人工知能活用のための政策や指針、人工知能の規制、研究と活用のための人材育成、人工知能と経済、人工知能と公平性・安全性・ガバナンス、安全保障などが論じられています。

欧州での事例

欧州委員会は、2021 年 4 月 21 日に『Proposal for a Regulation laying down harmonised rules on artificial intelligence (Artificial Intelligence Act)』を発表しました。

EU 市場で利用される AI システムが、安全で、基本権及び EU の価値観に関する既存の法令を尊重したものとなることを確保すること等を目的として提案されました。

AIの著作権問題で重要となる2つの論点

次に、AIと著作権の間にある2つの論点について紹介します。

AIが作ったものに著作権はあるのか

AIと著作権を語るうえで、よく取り上げられるのがこの「AIの“創作物“に著作権はあるのか」という問題です。

人が創作した場合

作者の思想や感情が表現された文芸・学術・美術・音楽などを著作物といい、人間による創作物は著作物として認められます。

AIを利用して人が創作した場合

日本政府は、著作物と認められるためにはあくまで人間の関与が必要で、人間が関与した創作物のみが著作物になるとしています。

そのため、この場合は人間がAIを道具として利用している以上、人間の関与があるため「著作物」ということができ、著作権により保護されます。

AIが創作した場合

AIが生み出したものは、特徴的でオリジナル性のあるものであるため、「創作的に表現したもの」と言えるでしょう。

しかし、問題は法律の文面の「思想又は感情を」という部分にあります。ここから、AIに「思想や感情」はあるのかということが問題となってきます。この観点から、AIが創作した者は著作物として認められていません。

AIプログラムは著作権で保護されるのか

次に、「AIを構成するプログラムは著作権で保護されるのか」という問題を取り上げます。

保護される場合

AIは、プログラムの1つです。そのため、AIのプログラムについて特許を取得すれば特許法に基づいて保護されることになります。

この場合、そのプログラムがハードウェアを用いて具体的に実現されていれば、ソフトウェア特許で保護されることになります。

保護されない場合

以上から、ハードウェアを用いて具体的に実現されていないAIプログラムは特許で保護されないということがわかります。

では、機械学習を終えた学習済みモデルは保護されるのでしょうか。

日本の判例では、著作権法上のプログラムと認められるためには、コンピューターを機能をさせて、ある結果を得ることが出来るようにするような指令を組み合わせたものであることが必要とされています。

学習済みモデルというのは、機械学習を通した計算結果としての数字の羅列です。そのような見方に基づけば、学習済みモデルは著作権法上のプログラムに当たらず、著作権法では保護されない可能性が高いと言えるしょう。

AIの法律を考えるうえで議論される倫理問題

次に、AIと倫理のさまざまな問題について解説します。

▶AIと社会について詳しくはこちら>>

事故の責任問題

AIが起こしてしまった問題の責任は誰がとるのでしょうか。

まず、責任を取ることが考えられるのはAIの利用者と製造者です。AIの利用者が責任を負う可能性があるのが「不法行為責任」です。しかし、この場合責任が発生するには、

  1. 侵害行為に故意または過失があること
  2. 損害が発生していること
  3. 侵害行為と損害との間に因果関係があること

以上の要件を満たしている必要があります。そのため、AIによる行為が他者に危害を加えた場合、それが故意でなければ、過失による不法行為責任をAI利用者が負う可能性は低いといえます。

また、AIを製造した事業者も製造者として「製造物責任」を負う可能性があります。この場合は、

  1. 製造物に欠陥があること
  2. 他人に損害が発生したこと
  3. 製造物の欠陥と損害との間に因果関係があること

以上の要件を満たしていれば責任が発生します。ここで利用者の責任と違うところは、製造者の過失が考慮されないことです。

つまり、製造者は故意でもそうでなくても責任を負うことになります。AIの製造者は、開発したときや販売したときのAIに関する技術水準では予見できなかったこと証明しなければなりません。

AIが持つバイアス問題

AIのバイアス問題は、データセット内の特定の要素が他の要素に比べて重要視されたり、典型的なものだと判断されてしまったりする誤りのことです。バイアスを含んだデータセットはモデルの活用事例を正確に反映していないので、結果に歪みが生じ、精度の低下や分析の誤りにつながります。

引用:(機械学習のバイアス問題について|Lionbridge AI|note

このバイアスによって性別や人種からAIに不当な判定を受けてしまうということが問題となっています。

例えば、白人の方が黒人より多い画像データで作ったAIシステムは白人を認識するのは得意だが黒人は認識しづらいことなどがあげられます。

▶AI倫理について詳しくはこちら>>

AIの法律に関する本・書籍5選

この章では、おすすめのAIの法律に関する本を5冊紹介します。

1,AI時代の法学入門-学際的アプローチ

AI時代の法学入門-学際的アプローチ に対する画像結果

出典:Amazon

法と社会の相互作用を洞察する上でも変化が激しく、法的問題が多発しており、法学が取り組まなければならない分野が各章で取り上げられています。

2,ロボット・AIと法

出典:Amazon

現在生起しつつある問題から近未来に起きうる問題までを視野に入れ、法学からの知見を提示しています。

3,AIの法律

AIの法律 書籍 に対する画像結果

出典:Amazon

金融機関におけるAIや機械学習の法的問題など新たなAI法務の論点も盛り込み、最新の実務が示されています。

4,IoT・AIの法律と戦略

IoT・AIの法律と戦略 に対する画像結果

出典:Amazon

IoT、AI、ビッグデータ等を利用する際に企業が解決すべき法律問題について解説するとともに、IoT社会の実現に向けた企業の法務戦略の展望が書かれています。

5,AI・IoT・ビッグデータの法務最前線

AI・IoT・ビッグデータの法務最前線 に対する画像結果

出典:Amazon

最新テクノロジーを活用した新たなビジネスにおける法律実務の解説、知財・データの保護や契約の在り方について最新の改正およびガイドラインをもとに留意点が明示されています。

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AIの法律に関する論文3選

ここでは、やや発展的な内容ですが、おすすめの論文について紹介します。

1,不法行為法におけるAIの法的人格に関する検討(赤坂 亮太、2018)

自律的なAIの発展に伴い発生する問題に関して検討されています。著者は2020年4月から大阪大学社会技術共創研究センターで准教授として活動しています。

▼論文はこちら
ja (jst.go.jp)

2,AIの法規整をめぐる基本的な考え方(森田 果、2017)

AIが発展するなかでの法規制について書かれています。著者は2015年から東北大学で教授をしています。

▼論文はこちら
AIの法規整をめぐる基本的な考え方 (rieti.go.jp)

3,AIの自立とロボット法の必要性(新保 史生)

AIの課題からロボット法の必要性が述べられています。慶應義塾大学総合政策学部で教授をしています。

▼論文はこちら
AIの自律とロボット法の必要性 (tasc.or.jp)

まとめ

ここまで、AIと法律の問題について解説してきました。いかがでしたしょうか。

AIの法律責任がどのようになっているのか、AIがどのように法律で保護されるのかがわかりましたか?

特に、法律上の責任はとても複雑なので、当事者になったときには気を付けましょう。

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