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2022.04.19

自然言語処理でできることまとめ|活用事例からpythonとBERTでの使い方を解説

最終更新日:

自然言語処理』という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。しかし、自然言語処理が何なのか、自然言語処理で何ができるのか、言葉は知っているけれど詳しくは知らないという人が多いのではないかと思います。

そこで、この記事では自然言語処理とは何か、自然言語処理の仕組みからできること、実用例までご紹介します。

自然言語処理の仕組み

まず、自然言語処理の仕組みを説明していきます。

自然言語処理とは、「自然言語」、つまり私たちが普段話しているような言語をコンピュータで分析する技術のことです。

コンピュータにとって、人間の言語は非常に曖昧で複雑な構造をしています。そのため、コンピュータで自然言語を分析するためには高度な技術が必要とされています。

では、どうやってこの高度な分析を行っているのでしょうか。

簡潔に説明すると、「高品質なデータを収集したあと、必要な部分を抽出して不要データを削除する」といった流れで行うことが一般的です。

このデータ収集に必要なのが、コンピュータが語彙を理解するための機械可読辞書と、言語の使用方法を記録、蓄積した文書集合であるコーパスです。

これらの準備が終わったら解析を行っていきます。解析は、「形態素解析」「構文解析」「意味解析」「文脈解析」という4つの工程で処理します。その後、以上の過程から得たテキストデータなどから必要な情報を構造化して抽出することで、コンピューターで処理できる状態になります。

▼自然言語処理について詳しくはこちら

自然言語処理でできること

では、自然言語処理で一体何ができるのでしょうか?

自然言語処理を通じてできるようになることを紹介していきます。

大量のテキストデータの解析

まず1つ目は大量のテキストデータを解析できるということです。

この技術が使われているのがテキストマイニングです。テキストマイニングとは、大量のテキストデータの中から有益な情報を掘り出す手法です。

非構造化データの処理

非構造化データとは、構造が定まっていないデータのことで、画像や音声がこれに当たります。

非構造化データはデータベース化できないため、統計や処理には向いていませんでした。

しかし、自然言語処理によって、文の構造や前後の文脈から質問の意図を読み取ることが可能となりました。

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pythonでできる自然言語処理

pythonは、機械学習などの分野において世界で最も使われているプログラミング言語の1つであり、pythonを使って自然言語処理をすることもできます。

ここではpythonを利用した自然言語処理の活用事例を紹介していきます。

翻訳

まずは翻訳です。翻訳とは1つの自然言語を他の自然言語に置き換えることです。

文章を直訳するだけでは、翻訳しても本来の意味合いで伝えられないケースがあります。しかし、自然言語処理では長くて複雑な文章でも本来の文脈をそのまま翻訳することができます。

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対話システム

対話システムも自然言語処理を活用しています。

この対話システムの代表例が「Siri」や「Googleアシスタント」といったAIアシスタントサービスです。これらのサービスは、普段の生活から多くの人が利用しているでしょう。

自然言語処理は、主に「人間の言葉を理解してそれに対する答えを導き出して提案する」という仕組みに活用されています。

感情分析

自然言語処理は、人間の言葉を理解し、それに対する適切な返答をするだけでなく、文章や会話からその人の感情を分析することもできます。

これは商品などへのレビューがポジティブなものなのか否かなど、さまざまな場面で活用が進んでいます。

BERT(バート)にできる自然言語処理

BERTとは、2018年10月11日にGoogleが発表した自然言語処理モデルです。

特徴として、汎用性が高く、WikipediaやBooksCorpusなどから得た大量の文章データを学習モデルが事前学習し、文章理解や感情分析などに応用できます。

▼BERTについて詳しくはこちら

転移学習(Fine-Tuning)

BERTが従来の自然言語処理モデルと違っているのが、転移学習(Fine-Tuning)ができることです。

転移学習とは、事前学習モデルであるBERTを既存のタスク実行モデルに適応させることができ、モデルの精度を向上させることが可能になります。

BERTを転移学習したモデルは、少ないデータを追加学習するだけで動くので、一からモデルを構築する必要はなくなります。

FAQデータ作成

国内で初めてBERTを活用、製品化した事例として、サイシードによるFAQデータ作成サービスである「sAI FAQ builder」があります。

FQAとはFrequently Asked Questionのことで、「よく聞かれる質問」のことです。

「sAI FAQ builder」は、AIによって、利用者の疑問に関連しそうなタグが提示されていきます。

提示されたタグの中から、自身の疑問と関連している可能性のあるタグを直感的に選んでいくことで、目的としていた疑問の回答にたどり着くことができるサービスです。

自然言語処理の活用事例6選

では次に、自然言語処理の活用事例を紹介していきます。

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検索エンジン

自然言語処理はさまざまな場所で活用されていますが、その代表的な事例ともいえるのが検索エンジンです。

2019年には、Googleが最新の自然言語処理モデルであるBERTを検索エンジンに採用しています。

それまでの自然言語処理では単語を読み取ることは可能でしたが、文脈から内容を判断することはできませんでした。しかし、BERTを用いることで、文脈から利用者が調べたいことを判断できるようになり、検索エンジンはより精密に利用者のニーズに応えられるようになりました。

自動翻訳

自動翻訳は多くの人が一度は使ったことがあるのではないでしょうか。日本語を入力するだけで、自動でさまざまな言語に翻訳することができます。

現在では、テキストだけでなく音声を精密に翻訳することも可能で、言葉が通じない人通しでの会話で利用されることも少なくありません。

スマートスピーカー

スマートスピーカーは私たちの生活に徐々に浸透してきており、「Alexa」や「Siri」などがそれに当たります。

スマートスピーカーは音声を認識して自然言語を的確に解釈し、その指示通りの操作を実行していきます。

自然言語処理の技術は、その文脈から利用者の求めるアプリを推測することができます。そのため、スマートスピーカーに時間を尋ねればAIが時計アプリを検索して時刻情報を入手し、自然言語処理を行って人間の言葉で答えるという作業が可能になります。

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対話型AIチャットボット

チャットボットとは、自分が打ち込んだ文章の文脈や意味合いを的確に理解し、最適な回答を文章化するというものです。

▼チャットボットについて詳しくはこちら

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音声認識AI

音声認識AIも自然言語処理と関連があります。音声認識によって録音したデータから人間の声だけを抽出し、文脈の通ったテキストに起こしますが、それだけではAIは人間の言葉の意味を理解できません。そのため、そのあと自然言語処理によってそれらの意味や文脈を理解します。

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かな文字変換予測

スマートフォンやパソコンの予測変換にも自然言語処理の技術が使われています。

日本では、ひらがなを打つだけで適切な漢字に変換したり、そのあとの文章を予測して提示することができます。

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自然言語処理の今後と課題

いかがでしたでしょうか。

この記事では、自然言語処理の仕組みからできること、活用事例について見ていきました。

現在では、スマートスピーカーや自動翻訳など、自然言語処理が身近で使われることが増えてきました。

そして、自然言語処理の技術によって、従来ではできなかった多くのことができるようになってきています。また、自然言語処理の中でも新しいモデルが開発されることで、今後さらにできることは増えていくでしょう。

今後も新しい機械学習の技術を取り入れていき、処理精度が向上していくことが予測されます。

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