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現在、日本ではデジタル化により、企業間同士の競争力を高める「DX」が活発になっています。
しかし、「実際にDXを推進する企業はどのようにして推進させたのか」、「どうすれば推進できるのか」気になる方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、注目のDX推進企業を紹介しつつ、DXを推進する際のポイントやDXを推進するメリットも合わせて解説していきます。
目次
DXとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応しながらデータとデジタル技術を活用して、社会や顧客のニーズを基にサービスやビジネスモデルを変化させること」です。
現在話題になっているDXの多くはビジネス視点でのDXが主であり、企業がいち早く外部環境・内部環境の変化を捉え、デジタルの力を使って最適な経営戦略に導くことによって、新しい価値創出することが重要になっています。
▼DXについて詳しく知りたい方はこちら
DXを推進するメリットとは?
DX推進企業を紹介する前に、まずは「なぜ企業がDXを進めているのか」を探るため、DXを推進するメリットを解説します。
DXを推進するメリットは以下の5つです。
それぞれ簡単に解説していきます。
1. 業務の効率化/生産性の向上
DXの導入により、システム維持費用や労力の無駄を省くことで、コスト削減・効率化が図れます。また、業務の効率化・自動化による企業の生産性向上が期待できます。
2. BCP対策
BCP(Business Continuity Plan)とは、事業継続計画の意味で、災害などの緊急事態に事業を継続するための計画です。
DXの導入にあたり、デジタル化を進めておけば、今後新型コロナウイルスのような緊急事態が発生した場合でも、テレワークにすぐ移行できるなど、迅速かつ柔軟な対応が可能になるでしょう。
3. 顧客体験向上
DX推進による顧客データの活用は、顧客体験向上に繋がることが期待できます。
例えば、顧客データを活用した場合、購入額が高い顧客に対してはさらに高価なサービスの提案、購入回数が少ない顧客に関しては購入回数が増えるようなクーポンの配布など、顧客に合わせたサービスを提供できます。
また、顧客体験が豊かになるにつれて企業間同士の競争力も強化されるため、DXの推進は収益増加にも繋がるでしょう。
4. 人材不足解消
例えば、勤怠管理システムを導入した場合、今まで勤怠管理者がやっていた各従業員の出勤時間の登録や月末の給与に反映するといった作業が勤怠管理システムで代用されるため、勤怠管理者の負担が軽減されます。
既存の勤怠管理者は他の業務に手が回るため、このようにDXが推進されれば人材不足が解消されます。
5. グローバル化への対応
日本は海外と比べてIT教育が進んでいないゆえ、DXが進んでいないとされています。しかし、グローバル化で世界中の人々とつながるためには、DXの推進は必須です。
DXが推進されれば、グローバル化に対応できるとされています。
▶DXを導入するメリットについてはこちらの記事でも詳しく解説しています>>
注目のDX推進企業4社とそれぞれの取り組み
ここからは、注目のDX推進企業を紹介し、それぞれの取り組みを解説していきます。
今回紹介する注目のDX推進企業は以下の4社です。
- 東京センチュリー株式会社|RPAによる作業の自動化
- 東日本旅客鉄道株式会社| Maasの取り組み
- アサヒグループホールディングス株式会社|AIのデザイン活用
- 日本郵船株式会社|運航スケジュール策定支援システム
それぞれ解説していきます。
東京センチュリー株式会社|RPAによる作業の自動化
東京センチュリー株式会社は、RPAを営業部店の負荷がかかる共通業務に導入しています。
それまで人の業務で行っていた入力業務などの単純作業をソフトウェアロボットに代替させ、飛躍的な業務効率化に成功しました。
また、同企業は「ロボットメーカーごとに特徴や作業の得意・不得意がある」というRPAの課題を解決するため、「ロボットを管理するロボット」を自社で製作しました。
それにより、さまざまなメーカーのロボットを効率的に一元管理し、的確な効果測定なども行いながら、年間約8,000時間、件数にして約90,000件もの作業を自動化しました。
東日本旅客鉄道株式会社| Maasの取り組み
東日本旅客鉄道株式会社は、ユーザーが移動のための検索・手配・決済をオールインワンでできる「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」を構築し、「シームレスな移動」「総移動時間の短縮」「ストレスフリーな移動」の実現を目指す取り組みをしています。
取り組みの一つに運行情報や振替輸送情報などを提供している「JR 東日本アプリ」で列車の遅れを加味した「リアルタイム経路検索」や「リアルタイム列車混雑状況」の提供があります。
アサヒグループホールディングス株式会社|AIのデザイン活用
アサヒグループホールディングス株式会社はAI技術を商品のパッケージデザインに活用しています。
まず、消費者の傾向や流行、そしてデザインに必要な素材をAIに学習させ、それらをもとにAIがパッケージのデザインを作成します。
このAIにはデザインを評価する機能も搭載されているため、消費者により近い目線のデザイン制作を実現します。
▶関連記事|進むデザインへのAI導入 −AIはデザイナーの仕事をどう変えるのか>>
日本郵船株式会社|運航スケジュール策定支援システム
自動車専用船の運航スケジュール策定支援システムを開発しました。
このシステムは、手動計算では導き出せなかった最適スケジュールを提示して運航担当者の業務効率化を支援します。
船舶ごとの運航データをタイムリーに収集するSIMSなどの社内システムと連携して、寄港地や積み降ろし台数などの条件を指定すれば、短時間に数十万通りのシミュレーションを実行し、その結果から寄港地への到着日時、航行速度設定等、本船毎の最適な航行スケジュールを提示します。
▶その他DXの活用事例についてはこちらの記事で詳しく解説しています>>
コロナ禍のDX推進事例5選
コロナ禍のDX推進事例は以下の5つです。
- グッドイートカンパニー|キャッシュレスやデジタルオーダーシステムで業務負担を軽減
- レストランsio|ECサイト構築で注文殺到
- 東急スポーツオアシス|通販の強化
- エイチ・アイ・エス|バーチャル体験ツアーの提供
- クラスコ|バーチャル内見で非対面賃貸
それぞれ解説します。
グッドイートカンパニー|キャッシュレスやデジタルオーダーシステムで業務負担を軽減
『WIRED CAFE』などを運営するカフェ・カンパニーの子会社・グッドイートカンパニーは、NTTドコモと資本提携してドコモが提供するデジタル技術を店舗に導入しました。
ドコモが提供するキャッシュレスや、デジタルオーダーシステムを店舗で導入した結果、従業員のレジや接客業務の負担が軽減されて顧客の満足度向上にも繋がりました。
レストランsio|ECサイト構築で注文殺到
株式会社ソラノイロは、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めてから自宅でもソラノイロの味が楽しめるよう、ラーメンキットの通信販売をスタートしました。
当初はメールで受注する暫定的なシステムでしたが、大きな反響がありネットショップ作成サービス・BASEを活用したECサイトを構築しました。
ECサイトでの販売価格は実店舗の価格設定よりも割高ですが、注文は殺到しており、ECサイト構築は成功を収めました。
ソラノイロ以外にも、ラーメン店からは麺屋武蔵やAFURIが、居酒屋業態からは串カツ田中や塚田農場が、新たにEC事業へと乗り出しています。
東急スポーツオアシス|通販の強化
国内約40箇所でスポーツ事務を運営する東急スポーツオアシスは通販事業に力を入れ、売上を倍にしました。
新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、一時は売上が実質0になりました。
そんな中通販事業に力を入れ、全体の10%程度だった通販部門の売上高を、2020年2月実績と比べて3月以降は倍に伸ばしました。
エイチ・アイ・エス|バーチャル体験ツアーの提供
エイチ・アイ・エスはオンラインでのバーチャル体験ツアーを提供しています。
「行った気になる観光セミナー|世界遺産イグアスフォールズ!」や「オンライン飲み会でNYを楽しもう!バーチャルクラフトビールツアー」など、様々なバーチャルツアーを開催しました。
料金は無料~10ドルで参加できるものなど、幅広いユーザーが参加できるラインナップを揃えています。
クラスコ|バーチャル内見で非対面賃貸
不動産会社のクラスコは、Web接客やバーチャル内見などを用い、契約までを非対面で完結できる「非対面賃貸」を開始しました。
インターネットから申し込んで内見先の鍵を店舗まで取りに行き、自分だけで内見できる「ひとり内見」や、オンライン上で説明や書類手続きを実現し、接客のデジタル化を進めています。
▶その他DXの活用事例についてはこちらの記事で詳しく解説しています>>
【DX担当者向け】社内のDXを推進する7ステップ
ここからは、企業のDX担当者向けに社内のDXを推進する7ステップを紹介します。
今回紹介するDX推進の手順は以下の通りです。
それぞれ解説します。
①経営戦略・ビジョンの掲示
DXの推進には、「何のためにDXに取り組むのか」といった経営戦略・ビジョンが必要です。DXを目的とするのではなく、DXは目的達成のための手段だと考えましょう。
変化する社会で、競争力を高める新たな価値を生み出すために「DXによって何を目指すのか」など、具体的な目的の作成・共有が大切です。
▶【事例つき】DX戦略|ビジネスを成功に導くDX推進法・ロードマップについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>
②経営トップの同意をえる
DXにより、企業そのものが大きく変革することもあります。根本的な改革を進めるためには経営者の理解・同意が必要になります。
DXの実現により、新たな事業を展開する際も、経営者の同意が必要となるため、経営陣にもDXの必要性に対する理解が求められるでしょう。
③DX推進のための体制作り
DXの推進に継続して取り組める組織の体制を構築しましょう。以下のようなサイクルをスムーズに実施できるような体制が必要です。
①仮説を立てる→②施策を実施→③データを使って検証
また、DXを担う人材の確保や育成、連携の取れた組織運用体制の構築も重要です。
▶【DX人材】 6つの業種、4つのスキル、3つのマインドセットについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>
▶DX人材の育成方法や育成のポイントを詳しく知りたい方はこちら>>
④現状の可視化・分析
既存の複雑化したシステムなど、自社システムの現状を可視化・分析し、改善しましょう。
「システムの連携が取れているか?」といった現状を把握すればで、現状のシステムに見直しが必要かどうか明らかになります。
⑤業務のデジタル化
アナログで実施している業務をデジタル化しましょう。
Web上のアプリ・クラウドサービスを積極的に導入するなど、デジタル技術の活用は、業務の効率化やコストの削減に繋がります。
⑥ビジネスモデルのデジタル化
既存のビジネスにデジタルを取り入れることで、新たな利益や価値の創出が期待できます。
新たなビジネスモデルが実現すれば、新事業へ転換の可能性も出てくるでしょう。
⑦プロセスの評価・見直し
DXを推進には、定期的なプロセスの評価と見直しが大切です。
DXの推進状況やその効果を評価し、より効率的にDXを実現するために、プロセスの見直しと改善を繰り返しましょう。
▶DXの進め方|参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントはこちらで詳しく解説しています>>
企業でDXを推進する際のポイント
ここからは、企業でDXを推進する際のポイントとして、「責任者の意識改革」「現場から導入する」の2点を紹介します。
責任者の意識改革
DXの推進には現場社員の協力だけではなく、経営者や現場責任者の協力も必要です。
DX担当の社員に推進を丸投げするのではなく、まずは経営者・責任者が「DXをすることでどのような価値を生み出し、どのような変革・効果が見込めるか」を理解したうえで社内全体を巻き込んでDXを進めましょう。
現場から導入する
DXを企業に取り入れる際は、現場から取り組みはじめましょう。
管理職からDX化を始めるよりも現場からDX化を始めるほうが、より早くその成果が反映されるためです。
大きな組織のDXがうまくいかない原因には、「現場を巻き込めていないこと」と「目標の範囲が大きすぎること」の2つがあります。
導入を活用・拡大させるためには上記で述べた「目標設定と現状の分析とそれに向けてステップを細分化」することが重要です。
細分化されたステップの中で小さな成功体験を積むことで、現場だけでなく組織全体がDX化の価値を見出し、拡大の可能性を大きく広げます。
組織全体のDX化を実現したい際には、導入の影響が分かりやすい現場から導入を始め、小さな成功の積み重ねをして組織全体に拡大させましょう。
▶DXの失敗パターンから学ぶ!DXを成功させるポイント3つを紹介した記事はこちら>>
DXを推進して企業競争力を向上しよう
今回はDXを推進するメリットや実際にDXを推進している企業の事例を紹介しました。
自社でもDXを推進して企業の競争力を強化しましょう。
▶DX推進とは?|指標や課題・企業事例をガイドラインに沿って解説した記事はこちら>>
◇AINOWインターン生
◇Twitterでも発信しています。
◇AINOWでインターンをしながら、自分のブログも書いてライティングの勉強をしています。