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2021.11.16

DXをバズワードで終わらせない-成功させるポイントや推進ステップも紹介

最終更新日:

DXバズワードについての解説記事アイキャッチ画像

「DXをバズワード(一時的な流行)で終わらせず、持続的な売上成長につなげたい」と考えている方は多いのではないでしょうか?

本記事を読むことで、

  • DXを持続的に成長させる方法がわかる

といったメリットがあります。

そこで今回は、DXをバズワード(一時的な流行)で終わらせないために、DXを持続的に成長させる3つのポイントを紹介します。さらに、DXの継続的な推進に欠かせない「DX人材の確保」に関する情報も紹介します。

DXとは?

DXとは、「IT技術の活用を通じて企業の既存製品やサービス、組織体制やビジネスモデルなどの変革により、競争上の優位性獲得などを目指すもの」です。DXを推進すれば、業務の効率化だけでなく、市場優位性の獲得や新たな顧客体験を提供できるため、業績向上も期待できます。

▼DXについて詳しく知りたい方はこちら

DXが注目される4つの理由

そもそもDXがバズワードになるほど注目されているのはなぜでしょうか?今回紹介するDXが注目される理由は以下の通りです。

  1. 「2025年の崖」に直面する恐れがあるため
  2. 従業員が働きやすい環境をつくるため
  3. ビジネス環境の変化に対応するため
  4. 既存システムには多くのリスクがあるため

それぞれ解説します。

①「2025年の崖」に直面する恐れがあるため

2018年9月7日に経済産業省が発表した「DXレポート:ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開」(略称:DXレポート)の中で、多くの日本企業が「2025年の崖」に直面していると指摘されました。

もしDXが実現できなければ、2025年以降最大で年間12兆円の経済損失が生じると予測されています。その一方で、DXが実現できれば2030年に実質GDPを130兆円以上上げられるとも述べられています。

既存のレガシーシステム(過去の技術や仕組みで構築されたシステムのこと)の延長では企業の成長に限界が見えている中で、DX戦略を早急に策定してアクションし、損失を最小化させることが日本企業にとって重要です。

▶「2025年の崖」の概要や企業単位の改善策は、こちらの記事で詳しく解説しています>>

②従業員が働きやすい環境をつくるため

DXの導入により既存業務のデジタル化が進むと、従業員の生産性や業務効率が向上するため、従業員が働く環境の改善につながります。例えば、従来は紙での決裁や承認作業が一般的だったため、数分で終わる作業のために決済者・承認者はわざわざ出社する必要がありました。

しかし、これらの作業をデジタル化することで、「担当者不在のため承認が進まない」といった事態がなくなりスムーズに物事を進められるだけでなく、担当者の出社の負担も削減されました。

このように、DXの導入により従業員の労働環境を改善できるため、必要性が高まっています。

▶DXと働き方改革の関係性とは?実現までの4つのステップから事例まで紹介>>

③ビジネス環境の変化に対応するため

DX推進はビジネスチャンスの拡大につながるため、DXの導入が必要です。例えば、新幹線のチケット購入をオンライン上で完結できるシステムが挙げられます。

従来はみどりの窓口でチケットを購入する必要がありました。しかしオンライン化により、みどりの窓口が近くにない方や体が不自由な高齢者の方でも自宅でチケットの購入が可能になったため、顧客層が拡大した(ビジネスチャンスが拡大した)のです。

他にも事例は多数ありますが、このようにDXの推進はビジネスチャンスの拡大につながります。

④既存システムには多くのリスクがあるため

長年使われてきたシステムには主に2つのリスクがあるため、DXの推進が必要です。

  • リスク1:サイバー攻撃やインターネット上に存在するウイルスの脅威にさらされる

これは、OS・ソフトウェア・ハードウェアのサポート期間の終了により起きうるリスクです。このリスクにより、個人情報の漏洩・機密情報の盗難につながり、企業の信頼を失う可能性が高まるため、早急に解決すべき問題です。

  • リスク2:既存システムの運用保守にコストがかかりすぎるため、IT人材の採用などに投資できない

経済産業省のレポートによると、企業のIT予算の90%以上が老朽化したシステムの維持費に消えています。IT人材の採用やITを活用したビジネスモデル変革に投資できなければ、今後ますますDXの重要性が叫ばれる中で、企業の優位性維持が難しくなるでしょう。

このように、既存システムを使い続けることにはさまざまなリスクが存在するため、その解決策としてDXの導入が必要です。

▶︎《初心者必読》DXの目的はこちらの記事で詳しく解説しています>>

DXを持続的に成長させる3つのポイント

DXをバズワード(一時的な流行)で終わらせず、持続的な売上成長につなげるためにはどうすれば良いでしょうか?

今回紹介するDXを持続的に成長させる3つのポイントは以下の通りです。

  1. 経営戦略・目標の提示
  2. DXを推進する人材の確保
  3. DXを推進するツールの確保

それぞれ解説します。

①経営戦略・目標の共有

経営層でDX推進への取り組みが決定したら、目標や戦略を全社で共有しましょう。また、目標や戦略の根拠となるデータも提示しましょう。

もしDXの目的を明確にしないまま進めると、やみくもにデジタルツールを導入してしまい、費用だけがかさんで終わる可能性があります。そうなると、途中でDXを継続できなくなるかもしれません。そのため、全社でDXのゴールを共有することが大切です。

②DXを推進する人材の確保

DXを推進するにあたり、DX推進のための人材を確保しましょう。DXを先頭で進める人材がいなければ、どこに向かうべきかわからず、中途半端に終わってしまう可能性があるためです。

DXを推進する人材と一言でいっても、DXの推進を管理する人やシステム構築・導入に関わる人など、さまざまな人がいます。しかし、社内の人材だけでDXを推進する場合は教育に時間やコストがかかるため、外部から調達するという手段もあります。

いずれにせよ、教育にかかるコストや時間配分を考慮したうえで、DXを推進する人材は何人必要か、外部から調達する必要はあるかを考えましょう

▶DX人材についてはこちらの記事で詳しく解説しています≫

③DXを推進するツールの確保

DX推進のためには人材の他に資源が必要です。そのため、DXを推進するツールを確保しましょう。DXを推進するツールにはAI・IoTVR・ARなどさまざまな手段がありますが、やみくもにツールを導入すると費用がかさんでしまいます。

そこで、DXの目標・戦略を決めた後、それらに適した手段やツールを導入すると効率的に進められます

【DX担当者向け】社内のDXを推進する7ステップ

DXを持続的に成長させるポイントを押さえた後は、DXの具体的な推進ステップを学び、アクションにつなげていきましょう。

今回紹介するDX推進の手順は以下の通りです。

  1. 経営戦略・ビジョンの掲示
  2. 経営トップの同意を得る
  3. DX推進のための体制作り
  4. 現状の可視化・分析
  5. 業務のデジタル化
  6. ビジネスモデルのデジタル化
  7. プロセスの評価・見直し

それぞれ解説します。

ステップ①経営戦略・ビジョンの掲示

DXの推進には、「何のためにDXに取り組むのか」といった経営戦略・ビジョンが必要です。もしDXのゴールを明確にしないまま進めると、やみくもにさまざまなデジタルツールを導入してしまい、費用だけがかさんで終わる可能性があるためです。

変化する社会の中で、競争力を高める新たな価値を生み出すためには「DXによって何を目指すのか」という具体的な目的の作成・共有が大切です。

▶【事例つき】DX戦略|ビジネスを成功に導くDX推進法・ロードマップについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>

ステップ②経営トップの同意を得る

DXにより、企業そのものが大きく変革することもあります。そのため、経営者の理解・同意が必要です。DXの実現により新たな事業を展開する際も、経営者の同意が必要となるため、経営陣にもDXの必要性に対する理解が求められるでしょう。

ステップ③DX推進のための体制作り

DXの推進に継続して取り組める組織の体制を構築しましょう。以下のようなサイクルをスムーズに実施できるような体制が必要です。

仮説を立てる→②施策を実施→③データを使って検証

また、DXを担う人材の確保や育成、連携の取れた組織運用体制の構築も重要です。

▶【DX人材】 6つの業種、4つのスキル、3つのマインドセットについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>

▶DX人材の育成方法や育成のポイントを詳しく知りたい方はこちら>>

ステップ④現状の可視化・分析

既存の複雑化したシステムなど、自社システムの現状を可視化・分析し、改善しましょう。「システムの連携が取れているか?」といった現状を把握すれば、現状のシステムに見直しが必要かどうか明らかになります。

ステップ⑤業務のデジタル化

アナログで実施している業務をデジタル化しましょう。Web上のアプリ・クラウドサービスを積極的に導入するなど、デジタル技術の活用は業務の効率化やコストの削減につながります。

ステップ⑥ビジネスモデルのデジタル化

既存のビジネスにデジタル技術を取り入れることで、新たな利益や価値の創出が期待できます。新たなビジネスモデルが実現すれば、新事業へ転換の可能性も出てくるでしょう。

ステップ⑦プロセスの評価・見直し

DXを推進するためには、定期的なプロセスの評価と見直しが大切です。DXの推進状況やその効果を評価し、より効率的にDXを実現するために、プロセスの見直しと改善を繰り返しましょう。

▶DXの推進についてはこちらの記事で詳しく解説しています≫

DXを推進する際の5つの重要ポイント

DXを推進する具体的なステップを学んだあとは、よりDXをスムーズに進めるための5つのポイントを押さえましょう。今回紹介するDXの重要ポイントは以下の通りです。

  1. 責任者の意識改革
  2. 現場から導入する
  3. DX推進の専任人材を確保
  4. 失敗を許容する体制の構築
  5. アジャイル開発

それぞれ解説します。

①責任者の意識改革

DXの推進には現場社員の協力だけではなく、経営者や現場責任者の協力も必要です。

DX担当の社員に推進を丸投げするのではなく、まずは経営者・責任者が「DXによってどのような価値を生み出し、どのような変革・効果が見込めるか」を理解したうえで社内全体を巻き込んでDXを進めましょう

②現場から導入する

DXを企業に取り入れる際は、現場から取り組みましょう。管理職からDX化を始めるよりも現場からDX化を始めるほうが、より早くその成果が反映されるためです。

大きな組織のDXがうまくいかない原因には、「現場を巻き込めていないこと」と「目標の範囲が大きすぎること」の2つがあります。DXの導入を拡大させるためには、「目標と現状のギャップを認識し、それを解消するステップの細分化」が重要です。

細分化されたステップの中で小さな成功体験を積むことで、現場だけでなく組織全体がDX化の価値を見出し、拡大の可能性を大きく広げます。組織全体のDX化を実現したい際には、DX導入の影響がわかりやすい現場から導入を始め、小さな成功を積み重ね、組織全体に拡大させましょう

③DX推進の専任人材を確保

DX人材を任命するときは、通常業務との兼任ではなく、DX専任とするのがベストです。なぜなら、専任で登用することにより、企業が重要な経営課題として認識していることを従業員に意識づけられるためです。

④失敗を許容する体制の構築

DX人材を任命する際は、失敗を許容する体制の構築も必須です。なぜなら、失敗を許さない風潮が組織に浸透していると、担当者は萎縮してしまい、思い切ったアイデアや施策が打ち出せなくなるためです。

  • DXを実現するためには、型にはまったアイデアではなく、既存の知識や経験にとらわれないアイデアが不可欠

そのため、失敗した人を責めるのではなく、「失敗を受け入れ、次のアクションにどう生かすか」という考えが浸透する体制の構築が重要になります。

⑤アジャイル開発

失敗を恐れず小規模から開発に取り組むには、現在主流のシステム開発手法のひとつであるアジャイル開発がベストです。

  • アジャイル:日本語で「素早い」という意味
  • アジャイル開発:最初に決めた計画通りに工程を進めるのではなく、細かな単位で実装とテストを繰り返す開発手法のこと。従来の開発手法よりも開発期間が短いため、アジャイル(素早い)と呼ばれる。

その理由は2つあります。1つ目は、DXに効果的なシステムを開発する際、アジャイル開発を採用することで急な仕様変更に対応でき、軌道修正しやすくなるためです。

2つ目は、「DX人材の採用における4つのポイント」の3つ目で紹介したように、小規模スタートで小さな成功体験を積み重ね、DX人材を育成するためにはアジャイル開発が有効なためです。

DXのおすすめ補助金

DXを持続的に成長させるためには、お金が必要です。なぜなら、DXの実現にはAI・IoTなどの最先端技術が重要なためです。そこで、DXに役立つ補助金を上手に活用し、DXの持続的に成長させましょう。

詳細は以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。

▶︎DXに役立つ補助金はこちらの記事で紹介しています>>

【初心者必読】DX関連のおすすめ書籍2選

ここからは、DX初心者におすすめの書籍として、「いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略」「デジタル技術で、新たな価値を生み出す DX人材の教科書」の2冊を紹介します。

①【書籍】いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略

DXに必要な知識と実行ステップについて、現場目線で丁寧に解説されています。また、DXを小さく推進し、徐々にビジネスプロセスやビジネスモデルの変革を目指せるように、豊富な図を用いて解説されている点もポイントです。

DXの推進担当者から最先端の技術に興味がある人までを対象としたDX人材の入門書です。

②【書籍】デジタル技術で、新たな価値を生み出す DX人材の教科書

日本の大手企業3000社以上にヒアリングを重ね、500社近くにDX人材育成サービスを提供する株式会社Standardの2人が、DX人材をテーマに解説した書籍です。

45個の業界別のDX事例も掲載されており、より具体的にDX人材について学べます。

▶DXのおすすめ書籍についてはこちらの記事で詳しく解説しています≫

DXの支援サービス

ここまでDXを継続的に成功させるポイントなどを紹介しましたが、とはいえDXには多くの時間とコストがかかります。「自社でDXに取り組むのは大変」といった悩みを抱えていませんか?

そのような悩みを抱える企業におすすめなのが「DX支援サービス」です。国や自治体による支援から、企業が行う支援サービスまで様々なサービスが充実しています。

▶DX支援企業11社を紹介|選定基準や企業の特徴、依頼する際の3つのポイントなども解説!>>

まとめ

今回は、DXをバズワード(一時のトレンド)で終わらせないために、DXを成功させる3つのポイントや推進ポイントを紹介しました。DXを一過性のブームとみるのではなく、中長期的に推進しなければ企業存続が危ぶまれるほどの時代です。

本記事を読んだ後は、DXの推進ステップに沿って自社の現状と理想のギャップを明らかにしましょう。

▶︎DXの進め方|参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントについてこちらで紹介しています>>

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