新型コロナウイルスの流行に伴い、ワクチンに対して様々な不安や興味を抱いた方も多いでしょう。今年、ワクチンがなかなか打てず不安だった人や、ワクチン開発に興味を持った人もいたと思います。AIの技術が進歩するなか、ワクチンの開発などにもAIが利用されています。
そこで、今回はAIとワクチンの関係について紹介していきます。
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目次
AIによる第6波の予測
新型コロナウイルスの感染者数の増減には周期的な特徴があり、これまで感染者数が横ばいになる時期と急増する時期を交互に繰り返してきました。既に日本は「第1−5波」を迎えていて、現在は次に来るであろう第6波が警戒されています。
人の流れや気象条件やワクチンの接種状況など、さまざまな条件を組み合わせてコロナウイルスの感染者数の増減をAIが分析した結果、12月に新型コロナウイルスの感染者が再拡大して感染の第6波が始まり、来年1月中旬ごろにピークを迎えるという予測がされました。
12月になるとワクチンの効果が薄れるとともに年末の飲食の機会が増えるため、感染者数の急増が警戒されています。
出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211102/k10013331891000.html
ワクチンの3回目接種によりどれくらい拡大が防げるのか
では、今話題になっているワクチンの3回目接種を行うことで、感染拡大をどもくらい防げるのでしょうか?
AI予測を用いた分析の専門家である名古屋工業大学の平田晃正教授は、3回目接種の必要性について研究データを公表しています。
研究データによると、3回目接種を進めなかった場合は、ワクチンの有効性は低下し続けると予測されている一方、3回目接種を進めた場合は、ワクチンの有効性はほぼ保てるとしています。
これらの予測から、3回目接種は感染拡大の抑止にとても有効だといえます。
AIによるワクチン接種可能な時期の予測
政府は、希望する16歳以上の全国民を対象に新型コロナウイルスのワクチン接種を計画しています。この集団免疫の成立のためには人口の7割程度の接種が必要とされます。そのためには、円滑なワクチン接種が重要です。
NewsDigest
株式会社JX通信社は、 NewsDigestというアプリを開発しました。このアプリは、AIがユーザーのワクチン接種が可能になる時期を予測します。
このアプリは今年2月に始まったものです。現在はワクチン接種を希望する多くの人が2回の摂取を終えることができていますが、この機能は3回目のワクチン接種が開始した際にも役立つでしょう。
AIを利用したワクチン開発
AIを利用した新型コロナウイルスのワクチン開発も行われています。
例えば、タンパク質は近年、新型コロナウイルスワクチンの新規開発で中心的な役割を果たすとして注目を浴びています。
ウイルスはRNAとその周りにあるタンパク質などで後世されています。そのため、タンパク質の構造把握の研究が発展することは、すなわちウイルスの構造把握の研究が発展することであると言えます。
しかし、実験を通してタンパク質の構造を解明するのには、非常に多くの手間がかかります。通常、そのような研究は何カ月もの時間と多くのリソースを必要とします。
新型のウイルス研究においてその性質を理解し効果的なワクチンを作るためには、ウイルスの構造情報が欠かせません。
AIの発展のおかげで、今では非常に複雑なたんぱく質でもその立体構造を高精度で予測できるようになりました。このようにAIが開発に携わることで開発にかかるコストや時間の削減が可能になりました。
時間短縮のポイント2つ
モデルナ社製のワクチン開発では約90%の時間短縮に成功したと言われています。その要因となったのが以下2つのポイントです。
データの一元化
データの一元化とは、データを一つのところにまとめて使いやすくすることです。一つの場所にデータをまとめておくことで、円滑にAI導入の準備が行えるとともに、さまざまな部署の人たちによる円滑なコミュニケーションが可能になります。
AIと自動化型生産ロボットの活用
モデルナ社では、クラウドに一元化したデータを活用して、薬の開発のあらゆる所でAIを活用しています。
例えば、AIを利用することで、ワクチン開発に必要な何万通りもの遺伝子配列の組み合わせを短時間で作ることができます。
また、従来は人間の目視によって行われてきたワクチンの品質検査も、AIの画像認識技術によって自動化・効率化できました。
▶画像認識とは|機能・事例・仕組み・導入方法など徹底解説>>
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AIによる顔認証を利用したワクチンパスポート
新型コロナウイルスワクチン接種を希望する多くの人が2回の接種を終えている現在、AIによる顔認証を利用したワクチンパスポートが注目されています。
ダイワ通信株式会社は、デジタルワクチンパスポートを読み取り本人顔認証を行う「Face Four Pass(フェイスフォーパス)」を2021年11月12日にリリースしました。Face Four Passには次の4つの機能が含まれています。
1.デジタルワクチンパスポート 読み取り
QRコードやバーコードなどで発行されたデジタルワクチンパスポートを端末にかざすことで、確認結果をリアルタイムで音声通知します。
2.温度測定・マスク着用判定
端末に顔をかざすことで、温度測定とマスク着用の有無を判定します。マスク未着用の人には、音声アナウンスでマスク着用を促します。これにより、従業員やスタッフの“声掛け”の負担を軽減できます。
3.防犯カメラ機能
ライブビュー機能を備えているため、専用アプリケーションを通じて遠隔モニタリングも可能です。別途レコーダーと接続すれば防犯カメラとして活用できるので、コロナウイルス収束後も利用可能な機能です。
4.出退勤管理機能
オプションにて、アクセス制御および勤怠管理アプリケーションを提供可能です。出退勤管理にかかる人件費の削減、中小規模のアクセス制御に適しています。
参考:国内初、ワクチンパスポート連携AI顔認証端末 Face Four Passをリリース
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AI×ワクチンは今後どうなる?
現在技術の進歩によってAIは進化しており、2019年には世界で初めてAIによるインフルエンザのワクチンが作られました。
また、新型コロナウイルスの流行に伴いワクチン接種時期の予測、ワクチン開発などにAIが大きく貢献できることがわかりました。
AIを活用することで、長い年月を必要とする従来の医薬品開発の工程を短縮できます。今後は様々な病気に対するワクチンの開発にAIが携わることになるでしょう。
▶AIは今後どういった進化を遂げるのか。そして私たちへの影響は?>>
まとめ
この記事では、AIによる新型コロナウイルス感染症拡大の予測、AIを利用したワクチン開発、ワクチンパスポートなどを紹介してきました。
3回目のワクチン接種の重要性、そして医療分野でAIがどのように活躍がわかりましたね。
ぜひ今後のワクチン接種の検討に役立ててください。