AIは流行の言葉になりました。なんだか、AIに関わっていないと、時代から取り残されてしまいそうです。
ただし、AIに関わるとは具体的にどういうことでしょうか。ひとくちにAIと言っても、関わるにしてもたくさんの役割があります。
この記事は、読者の方にAIの利用法を知っていただき、次のアクションに繋げるのが目的です。
AIを使ってみたいけど、使い方が分からない!という人は、読み進めてみてください。AIを使うってどういうこと?という初歩的なところから解説します。
目次
AIを利用する前に知りたいAIの知識
まずは、そもそもAIとは何か。AIと関わるなら、どのような関わり方があるか。について解説します。
AIの定義は曖昧
さて、AIとは何でしょう。AIとは人工知能の略称ですが、人工知能と言っても捉え方は実に多様です。
AIを作るための手法、AI技術がAIと呼ばれたり、製品のなかに組み込まれているモデルがAIと呼ばれたり、モデルが搭載されている製品そのものをAIと呼ばれたりしています。
AIに関する定義は、定まっていません。「知的なふるまいをするシステム、製品、サービス。または、知的なふるまいをさせる技術」といったところが最も広い意味でのAIです。文脈に合わせて意味を理解するのが大切です。
AI技術の変遷
AIという言葉が誕生したのは、1956年のダートマス会議だとされています。今から50年以上も前に誕生したのです。
それから、技術的な発展とともに、AI業界は盛衰を繰り返し、AIが指す技術も移り変わってきました。
今日のAIブームはディープラーニングという技術の登場によって起こされました。ディープラーニングの優秀なところは、一言でいえば精度です。従来の機械学習より高い精度を実現して、AI活用の幅を大きく広げました。
そもそも機械学習とは、機械がデータの特徴、構造を発見することで、モデルを作るための手法です。今のAIは、ほとんど機械学習によってできています。
▼機械学習について、コチラの記事が詳しいです。
ディープラーニングは、これが見本だよ!という教師データを与えるだけで、何に注目するかは機械が勝手に学習するのが従来の機械学習との違いです。
この技術によって、囲碁でAIが人間に勝利したり、自動運転の技術的発展が進行したりしています。時に人間を超える精度を発揮するのであるから驚きです。
ディープラーニングは画像データだけでなく、音声データや、数値データ、などに応用が進められています。
AIの3つの利用法
AIの輪郭が掴めたところで実際に、AIを使う3つの方法を紹介していきます。
画像認識
画像認識とは、画像を使って何が写っているかを特定する方法です。下記のYouTube映像は、画像認識ができることを理解するには、分かりやすいと思います。
ディープラーニングによって、精度をあげた分野の最も代表的なものと言って良いでしょう。
画像認識の活用方法は、幅広く、自動運転での物体の認識や、医療におけるガンの発見、製造業における検品などに利用されています。
▼画像認識について詳しくはコチラ
音声認識
音声認識とは、私たち人間の話してる声を認識する技術です。どういう言葉を話しているか理解して、文字に変換したり、機器を操作したりできます。
iPhoneユーザーには、身近であるsiriも音声認識の活用分野の典型例です。近年話題の、スマートスピーカーも、私たちの声を認識して、動いてくれます。
音声の意味を理解する部分は、次に紹介する自然言語処理が生かされる部分になります。
▼音声認識について詳しくはコチラ
自然言語処理
自然言語とは、私たち人間が自然に話している言葉のことを指します。これに対比されるのは、プログラミング言語で、コンピュータ上で処理される言葉です。自然言語処理とは、この自然言語をコンピュータに処理される技術を指します。
自然言語は、プログラミング言語と違って、曖昧さが常に付きまといます。これをいかに克服するかが、求められてきました。
そこで、機械学習が活用され、精度が向上します。大量のデータを機械に学習させることによって、確率的に言語の意味を理解させることができるようになりました。
典型的な活用分野は、機械翻訳です。例えばGoogle翻訳を活用すると、私たちが入力した言葉を外国語に変換してくれます。
▼自然言語処理について詳しくはコチラ
身近な利用できるAI
AIを活用したい人は、とにかくAIの事例を知るのが大切です。実際にAIを使ってみれば、AIによって何ができるのかイメージ感が湧いてきます。
それに応じて、もっと大々的に仕事にAIを導入したり、はたまたAIに開発者に回ってみたりすることがあるかもしれません。
そこで、ここでは、身近で使えるAIを4つ紹介します。本当に身近にあるものに限定しました。
AIりんな
AIをつかってみたい人はLINEで「りんな」と検索しましょう。りんなはMicrosoftが開発しているAIで、「AIと人だけではなく、人と人とのコミュニケーションをつなぐ存在」を目標にしています。
LINEで会話を楽しむだけでなく、占いや恋愛相談までできます。
Google翻訳
Google翻訳もAIの重要な活用例です。Google翻訳では、あたしたちが入力した文章を、勝手に外国語に訳してくれます。もし、翻訳に納得がいかなければ、フィードバックを送信できます。このフィードバックは新たなデータになるのです。
使えば使うほど、精度はあがる。AIの特徴と言えますね。
スマートスピーカー
Amazonが開発している、Amazon AlexaやGoogleが開発している、GoogleアシスタントなどのスマートスピーカーもAIを搭載しています。
筆者も、Alexaに寝る前「人気のジャズを流して」と「30分後に再生を停止して」と頼み、音楽を流しながら就寝しています。オススメの活用法です。
スマートスピーカーも同様に、私たちのデータを収集しています。
▼さらに、AIの活用事例を知りたい方はコチラ
AIを業務に導入して利用したい人へ
AIが注目される1つの理由に、私たち人間の代わりに、AIが労働力の役割を果たしてくれるというものがあります。
例えば、自動運転が実現すれば、タクシーの運転手はいらなくなります。音声認識の技術が向上すれば、電話のオペレーターも必要なくなりそうです。
特に日本社会は、人口減少とともに、労働力不足が懸念されています。この解決策としてAIが期待されているのです。
今のAIでも、少しずつできることは増えてきました。AIを仕事の業務に導入できれば、コストの削減につながります。
一方で、AIの導入は大きく進んでいるとは言えません。株式会社リアルインサイトの中小企業の調査によると、導入率は5.5%に留まり、「導入コスト」や「導入の仕方が分からない」ことが原因にあがりました。
▼調査に関する詳細はコチラ
では、業務に導入するためには、まず何をすればいいのでしょうか。解説していきます。
AIで何ができるかを知る
最初にAIで何ができるかを知りましょう。AIを導入しようと思っても、AIが何が分かっていなかったら不可能です。最初は松尾豊先生の『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』を読むのがオススメ。人工知能の何ができて、何がすごいのかが、良く分かる記事です。
Amazonのぺージ
▼他にもオススメの書籍はコチラにまとめています。
自社の業務フローを整理する
次に当然やるべきになのが、業務フローの整理です。その中で、「AIで効率化できる部分はないか」と考える必要がありますからね。
大きく分けると3つのステップで進めていきます。
- 業務の定義
- AIに必要なデータの準備
- 費用対効果の算出
業務の定義の段階で、「顧客の電話対応に時間がかかりすぎている」とか「不良品の検品を人の目でしているが精度が低い」など、具体的な現場の課題に絞り込めるようにするのがミソです。
これに対して、自動化をするのに十分なデータを集める必要があります。テキストデータか、画像データか、顧客データか。自動化する対象の業務によって異なります。
続いて、AIを導入した場合の効果も算出できるようにしておきましょう。人間が業務を行った場合の、人員、時間などと比較して、算出するのが一般的です。
ちょっと待って!本当にAIが必要?
このように業務を整理することの価値は、必ずしもAIの導入が導入できることではありません。むしろ、AIはコストがかかる手法ですし、もっとやりやすい業務の効率化が考えられます。
AIはあくまで手段であって、AIを導入する効果がコストに見合わないと意味がないのです。業務のなかで改善できるのはどこか。それによって、誰が喜ぶのか、手法は本当にAIか、これを精査するのが最も重要だと考えます。
例えば、AIよりもRPAの方が、費用対効果が良いことも珍しくありません。
▼RPAとは何か?分からない方はコチラ
▼AI導入までのプロセスでついては、こちらの記事がより詳しいです。
AIの開発
さて、企画ができれば実際に開発に移ります。
まずAIはPoCというフェーズを経ます。PoCとが概念検証の略で、AIの仮モデルを構築し、その実現性を検証します。この検証をクリアすれば、実際にAIを実装します。
実装する段階では、データを解析してモデルを構築し、そのモデルの精度を、別のデータで試すという流れを繰り返します。
問題になるのは、自社にAIを開発するスキルがあるかどうかです。人件費のコストのコスト、開発にかかる工数も考えて、やはり、AIが本当に必要であるかどうかは精査する必要があるでしょう。
もし、自社に開発能力がないのであれば、外部に委託することになります。AIを対象にしているコンサルタントをまとめた記事があります。コチラを参考にご検討ください。
▼AI コンサルのまとめ記事はコチラ
▼AIの開発のプロセスについては、コチラの記事に詳しく解説しています。
AIを利用した事例
それでは、実際にAIを業務に利用した事例には、どんなものがあるでしょうか。イメージを掴みやすくするために、3つの事例を紹介します。
製造業での事例
日立ソリューションズは、画像認識を使ったサービスを展開しています。主な対象は製造業で、外観検査において、異常がないかどうかを画像認識で検出したり、着荷した品番の画像データを、出荷したデータを照らし合わせるなどの活用方法が想定されています。
参照:https://it.impressbm.co.jp/articles/-/16800
行政での事例
株式会社コンシェルジュは、山崎情報産業株式会社の導入、運用支援を介して、三鷹市のゴミ分別案内にチャットボットを導入しています。複数の言語に、対応しており、複雑なゴミ分別を助けるサービスです。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000017833.html
インフラ業界での事例
東京メトロは、画像認識を利用して、トンネルの老朽化や保守点検業務を行っています。例えば、コンクリートの劣化具合のデータから、コンクリートの落下についてAIで予測をしています。
参照:https://ainow.ai/2019/11/15/180870/
AIを開発する専門家になりたい人へ
AIを開発したい人は、当然AIを開発するのに必要なスキルを身に着けるのが目的になります。
AIの実装が可能なエンジニアやデータサイエンティストになるには、簡単な道ではありません。それだけに人材不足はしばしば指摘されていますので、挑戦してみる価値はあると言えるでしょう。
この記事では、AIを開発するのに必要な能力の付け方を解説します。
AIを開発している研究室に入る
AIに関する技術的な蓄積は、アカデミズムの世界に根強く存在しています。
近年では、産学連携の機運も高まってきています。つまり、企業がデータを提供して、大学院生がモデルを開発したり、アカデミズムの世界で、実績をあげた人材を、企業が高額で採用するような流れが出てきています。
特に海外では、修士号や博士号が高く評価されますし、大学で学ぶのは、非常に建設的で実のある、選択肢です。
AIの勉強をしたい方は、AIに精通している研究者や研究室を見据えて、入学を検討してみてください。
一方で、お金や時間などのコストを考えると、簡単に入学を決断できるものでもありません。そんな人は後述する、オンラインの講座を始めてみるのも良いでしょう。
▼AIの研究室は、こちらの記事にマップとしてまとめられています。
講座に通う
AIに関する、民間の講座は非常に充実してきています。まずは、無料の講座を受けてみて、AIを開発することへの自分の相性を検討してみるのが良いでしょう。
有料か、無料か、オンラインか、オフラインか、みなさんのライフスタイルに合わせて選択肢は多様です。
▼AIの講座についてはこちらの記事で、詳しく紹介しています。
資格に挑戦する
資格に挑戦するのも、AIを開発するのにオススメの選択肢です。大学に通いながら、あるいは講座に通いながらでも、資格に挑戦できますね。
オススメな理由は3つです。1つ目は、資格に合格すれば、能力が証明できる。2つ目は、資格で問われる能力に応じて、高められる。言い換えると、資格の合格を逆算して、勉強の道筋が立てられる。3つ目は、一緒に合格を目指す仲間を作ることで、勉強へのモチベーションを保てる。
上記の理由につき、資格に挑戦するのは、非常にオススメです。しかし、講座といっても選択肢が多すぎて選べません。下記の記事で、詳しく紹介しているので、そちらをご覧になって合うものをご検討ください。
▼AIに関する講座を紹介した記事はコチラ
Pythonに取り組もう
AIの開発しようとすると、避けて通れないのがPythonです。Pythonとは、最もAIの開発に使われているプログラミング言語で、AIの勉強は、Pythonにいきつくと言っても過言ではありません。
▼Pythonの勉強法のついてはこちらの記事が詳しいです。AIを開発したい人全般にオススメの記事です。
まとめ
この記事では、AIを利用した人を対象にした記事です。そこで、そもそもAIとは何か。また、どんな利用の仕方があるかを紹介してきました。
AIの開発必要なものは、膨大なデータです。いろんな形で、AIに触れることで、データが集まり、モデルが強化されます。それぞれがAIを起点に、データ基盤を見直し、質と量のあるデータが整備されます。AIを理解したうえで、活用をすすめていきましょう。