今さら聞けない!「人工知能」とは?

最近 がブームになっています。近い将来、人工知能が仕事を奪っていくとまで言われています。皆さんはこの人工知能についてどのくらい知っていますか?今回は、そもそも人工知能とは何か、その歴史、活用事例などについて解説していきたいと思います。

1.人工知能とは

人工知能の定義

人工知能の定義は、専門家の間でもまだ定まっていない、というのが現状です。様々な専門家がそれぞれの定義をしています。

下の表は、13人の人工知能研究者による人工知能の定義をまとめたものです。

出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(KADOKAWA)p.45

現在、研究者が定義しているような人工知能はまだ作られていません。「人工知能を搭載!」「世界初人工知能を使った○○」といったようなフレーズを最近よく耳にします。しかし、ここでいう人工知能は本当の意味での人工知能ではありません。本当の意味とは、人間と同じようにふるまうということです。

 

人工知能の種類

人工知能は、「特化型人工知能」と「汎用人工知能」の2つに分けられます。特化型人工知能とは、一つのことに特化した人工知能を指します。例えば、 画像認識音声認識 といった技術、自動運転技術、PONANZAなどの将棋AIも特化型人工知能と言えます。現在では、人工知能関連の研究のほとんどがこの特化型人工知能の研究になっています。

それに対して汎用人工知能は、簡単に言うと、「なんでもできる人工知能」です。特化型人工知能は一つのことしかできませんが、汎用人工知能は与えられた情報をもとに自ら考え、応用することができる人工知能のことを指します。人そのもののようなふるまいをする、といったイメージです。

 

チューリングテスト

人工知能ができたかどうかを判定する議論には歴史があります。中でも有名なのは、「チューリングテスト」です。チューリングテストとは1950年にAlan Turing氏が提唱した、いかにその機械が人間の真似をすることができるかどうかを判定するためのテストです。人間と機械、人間と人間で会話をさせ、それぞれの会話に対して評価をするという方法をとります。やり取りの中ですぐに人間か機械か判別することができないよう、やり取りは文字のみで行い、機械と人間の区別がつかなかった場合、その機械には「知能がある」ということになります。

しかし、このチューリングテストでは、機械に対してルールを定義すればある程度は人間のように答えることができるのではないかといった批判の声もありました。質問の内容を理解していなくても、ルールに従って回答していればいかにも理解しているかのように装うことができるのではないか。哲学者のジョン・サール氏は「中国語の部屋」と呼ばれる思考実験を引き合いに出し、このことを主張しました。

「中国語の部屋」はこのようなものでした

ある小部屋の中に、アルファベットしか理解できない人を閉じこめておく(例えば英国人)。この小部屋には外部と紙きれのやりとりをするための小さい穴がひとつ空いており、この穴を通して英国人に1枚の紙きれが差し入れられる。そこには彼が見たこともない文字が並んでいる。これは漢字の並びなのだが、英国人の彼にしてみれば、それは「★△◎∇☆□」といった記号の羅列にしか見えない。 彼の仕事はこの記号の列に対して、新たな記号を書き加えてから、紙きれを外に返すことである。どういう記号の列に、どういう記号を付け加えればいいのか、それは部屋の中にある1冊のマニュアルの中に全て書かれている。例えば”「★△◎∇☆□」と書かれた紙片には「■@◎∇」と書き加えてから外に出せ”などと書かれている。

彼はこの作業をただひたすら繰り返す。外から記号の羅列された紙きれを受け取り(実は部屋の外ではこの紙きれを”質問”と呼んでいる)、それに新たな記号を付け加えて外に返す(こちらの方は”回答”と呼ばれている)。すると、部屋の外にいる人間は「この小部屋の中には中国語を理解している人がいる」と考える。しかしながら、小部屋の中には英国人がいるだけである。彼は全く漢字が読めず、作業の意味を全く理解しないまま、ただマニュアルどおりの作業を繰り返しているだけである。それでも部屋の外部から見ると、中国語による対話が成立している。

Wikipediaより引用

この実験を通してジョン・サール氏はチューリングテストでは知能の本質が検証されないのではないかということを主張しました。

 

そんな中、2014年にこのチューリングテストに合格する 人工知能 が現れました。

「ユージーン」という13歳の少年を想定した人工知能が審査員の約30%を欺き「人間である」と判定されました。チューリングテストに合格した人工知能はこの「ユージーン」が初めてだといいます。

出典)IT media NEWS

このチューリングテストの合格により、人工知能がチューリングテストの定義するところの知能に達したと言えるでしょう。

 

2.人工知能の歴史

現在様々なフィールドで人工知能を活用したモノやサービスが普及してきています。

その中でも私たちの身近にある人工知能と言えば、iPhoneに搭載されているSiriやお掃除ロボットのルンバ等があります。最近では将棋AIが話題になるなど、生活の中で人工知能に触れる機会は多くなっていると実感せざるを得ません。

それでも、「人工知能のニュースをよく耳にはするけど、あまりピンと来ない」という人がほとんどだと思います。そこで、人工知能について歴史からひも解いていきたいと思います。

出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(KADOKAWA)p.61

第一次AIブーム 推論・探索の時代(1950年代後半~1960年代)

この時代、コンピュータで「推論・探索」をすることによって問題を解決するといった研究が進んでいました。

人工知能」という言葉の始まりは、1956年夏、ダートマスで開催されたワークショップです。ここには、ジョン・マッカーシー、マービン・ミンスキー、アレン・ニューウェル、ハーバード・サイモンと言った著名な学者が参加していました。このワークショップでは、ニューウェルとサイモンが「ロジック・セオリスト」という人工知能プログラムのデモを行いました。これは自動的に定理を証明するプログラムで、世界初の人工知能プログラムと言われていました。

※人工知能の概念自体は1947年の「Lecture to London Mathematical Society」で提唱されていたのですが、人工知能という言葉を使ったのはダートマス会議が初めてです。

左から

ジョン・マッカーシー(1927-2011)[参考] Wikipedia

マービン・ミンスキー(1927-2016)[参考] Wikipedia

アレン・ニューウェル(1927-1992)[参考] acm

ハーバード・サイモン(1916-2001)[参考] NAMs出版プロジェクト

 

このブームの中で、一見知的に見える問題をコンピュータが次々と解いていき世間を驚かせました。しかしよく考えてみると、解いている問題はすべて明確なルールが定義されているモノでした。

実際に現実にある問題については、その複雑な計算を処理するすべがなく解くことができませんでした。このことが発覚すると人工知能に対する失望感が増していき、1970年代、冬の時代に突入してしまいます。

 

第二次AIブーム 知識をいれると賢くなる(1980年代)

エキスパートシステム」の開発・導入がきっかけとなり、第二次AIブームが起こりました。

第一次ブームでは高度な計算はできましたが、現実的な問題となると厳しいものがありました。そこで開発された「エキスパートシステム」は、知識表現に重きを置いて作られた、専門家の知識から得たルールを用いて特定の領域についての質問に答えるプログラムです。
しかし、ここでも問題がありました。コンピュータには「常識」がないという問題です。ここで一つ例を挙げると、“熱を下げるには”という質問に対して、「解熱剤を飲ませる」または「殺す」と答えたそうです。確かに死ぬと体温は下がりますが…。そもそも前提として命を守るということがありますよね。ただ、コンピュータにはそういった「常識」がないために、このような答えを出してしまうのです。結局、このような問題に直面し、第二次ブームは収束しました。

 

第三次AIブーム 機械学習の広がり、深層学習の発見(現在)

結果的に、2回とも人工知能の本質が見えないままブームは去っていきました。

そして現在第三次ブームが起こっていることが分かりますこの第三次ブームが起こった大きな要因として、ディープラーニング(深層学習)という技術の開発、 ビックデータ の普及などが挙げられます。

今までのブームでは、与えられた知識を取り出してくることしかできませんでした。AIが目指すべきところは、「自ら学習し、推測する」ことです。それを可能にする技術がディープラーニングであるといえます。

ディープラーニングがこれからの人工知能の発展に大きく関わってくることは間違いないでしょう。

 

3.人工知能と仕事

人工知能に仕事を奪われる!?

加速していく人工知能ブームの中で、世間では「人工知能が仕事を奪っていく」とまで言われています。実際に、人工知能が仕事を奪っていく未来はすぐそこなのかもしれません。

英オックスフォード大学のオズボーン准教授らが論文において、人工知能に奪われそうな仕事のランキングを発表しています。

上位15位を抜粋

  1. 小売店販売員
  2. 会計士
  3. 一般事務員
  4. セールスマン
  5. 一般秘書
  6. 飲食カウンター接客係
  7. 商店レジ打ち係や切符販売員
  8. 箱詰め積み降ろしなどの作業員
  9. 帳簿係などの金融取引記録保全員
  10. 大型トラック・ローリー車の運転手
  11. コールセンター案内係
  12. 乗用車・タクシー・バンの運転手
  13. 中央官庁職員など上級公務員
  14. 調理人(料理人の下で働く人)
  15. ビル管理人

http://diamond.jp/articles/-/76895?page=2

1位は小売店販売員。「じゃあロボットが接客するようになるのか??」と想像する方もいると思いますが、どうやらそうではなくeコマースの使い勝手がさらに良くなれば、店舗の販売員が必要ではなくなるといったことのようです。確かに、eコマースの利用がさらに加速すれば対人での接客は必要なくなるでしょう。

個人的に驚いたのは、安定と言われる中央官庁職員などの上級公務員までもがランクインしているということです。確かに個人情報などを機械が確実に管理できるとしたら流出も避けられますし、それに越したことはないなと思いました。

1つの作業を繰り返す業務は、人間が行う必要がなくなってきています。しかし、それに伴って複雑な仕事が多くなって来ているのも事実です。人間はこれから複雑な仕事をする役割を担っていかなければならないため、さらなるスキルアップが求められるでしょう。

 

4.人工知能とプログラミング

人工知能の開発で人気のPyhonとは?

汎用のプログラム言語のことです。他のプログラム言語に比べて、コードがシンプルで扱いやすいのが特徴です。そのため、プログラミング初心者でも学びやすい言語となっています。最近の人工知能ブームで 機械学習 というワードをよく耳にしますが、その機械学習によく使われるのが Python です。

人工知能開発に用いられる言語はいくつかありますが、その中でも最も人工知能関連でよく使われている言語であるのがPythonと呼ばれる言語です。

下の図は、AI関連のエンジニア・アナリストを募集する求人100件に記載されている「求める言語」の登場数を集計したもの。

スクリーンショット-2016-11-16-16.53.59出典)Pythonが人気!!人工知能に関われるエンジニア・データアナリスト求人まとめ

ではなぜPythonがこの分野でよく使われているのでしょうか。

有名なプログラミング言語でいうとC、Javaなどがありますが、それに比べてPythonは、「型」と呼ばれるプログラムの書く上でのルールがとても少なく、大量のデータを簡潔に書くことができます。それゆえに膨大なデータを処理する必要がある人工知能開発に重宝されているのです。

型が無いということは、読みやすいということにも繋がります。読みやすいというのはすなわち
パッと見た時に分かりやすいので、学び始めるときのハードルが下がります。だからPythonはプログラミング初心者でも学びやすい言語です。

 

Pythonを使った人工知能

Pepper

ソフトバンクが開発したロボットです。感情エンジンを搭載し、人の感情を読み取ることができる世界初のパーソナルロボットです。

Pepperには「ロボアプリ」というものがマーケットを通じて提供されているので、この「ロボアプリ」をPepperにインストールすることで自在に機能をカスタマイズすることができます。

 

 

出典)Softbank

Alpha Go

Deep Mind社が開発した囲碁AI。プロ棋士を次々を倒していったことで話題になりました。

出典)IT Media

 

5.人工知能の活用事例

人工知能活用事例5選

最近では人工知能が様々なサービスに活用されています。

コチラの記事では最近の人工知能活用事例を5つ紹介しています。

人工知能活用事例5選!人工知能もここまできた

その他の活用事例

上記の記事で紹介したもの以外にも活用事例がいくつもあります。

その中でも興味深い活用事例をPickupしました。

会話

みなさん使っているであろうLINE。LINEでは様々な企業がチャットボットアカウントを動かしています。

数あるチャットボットアカウントの中でも多機能で優秀なものをまとめました。

【LINE】会話成立・多機能なLINEチャットボットアカウント5選 ~あなたの話し相手は人間だけじゃない~

ゲーム

FINAL FANTASY XVでは、数多くのAIが活用されていると話題になっています。

「FINAL FANTASY XV」の自由に動けるオープンワールドはAIのおかげ ~リアルでのメタAI活用がAI発展の鍵に!?~

意思決定支援ツール

自然言語処理と機械学習を使用し意思決定を支援するIBM Watson

IBM Watsonは各専門領域の知識を蓄積し、人間の専門家が判断を下す際のサポートをします。つまり意思決定を支援してくれるものです。

ソフトバンクでは、新卒採用のES評価にこの Watson を利用すると発表しています。

その実態は?採用にWatsonを導入したソフトバンクの人事担当者を突撃してきた。

セキュリティ

2020年オリンピック開催に伴って、国内のセキュリティをさらに強化していかなければなりません。

人工知能は、セキュリティに対しても非常に有用とされており、活用事例が増えてきています。

あなたはもうAIに監視されている…!?国内セキュリティAI活用事例まとめ8選

アイドル

アイドル×AIという一見ありえないような組み合わせですね。

人工知能は様々な分野で活躍しています。

アイドルと人工知能!AIがアイドル業界でも使われてるって本当?

6.まとめ

活用事例に挙げたように、人工知能は既に様々な分野に活用され、成果を上げています。これからさらに研究が進むにつれ、幅広く利用されることは間違いないでしょう。それによって人間は仕事を奪われる、といったネガティブなイメージがありますが、ポジティブに捉えればやらなくてよい仕事が増えるとも考えられます。

人工知能が発達していくにつれ、世の中はさらに便利で住みやすくなっていくことでしょう。人工知能の今後の発展にますます期待が高まります。

 

[参考文献] 松尾豊(2015)『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』KADOKAWA

 

[参考文献] AIビジネス研究会「60分でわかる!AIビジネス最前線」技術評論社

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