AIの技術を利用したサービスが増えるなか、顔診断アプリをはじめ「AI × 顔」のサービスに興味を抱いた方も多いでしょう。
また、顔認証がセキュリティーに利用されていることから、AIの顔認識技術について関心を抱いたことはないでしょうか。
そこで、今回は「顔」に関連したAIサービスについて紹介していきます。
目次
AIとは
AIとはArtificial Intelligenceの略で、人工知能と日本語で訳されます。
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AI×顔の技術を説明するのに、欠かせない要素は機械学習、深層学習、GANです。
簡単に説明すると、機械学習はAIの1つの要素技術で、深層学習は機械学習の1つの要素技術です。
機械学習は大まかに「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」と分けられますが、GANは「教師なし学習」に該当します。
▼機械学習について詳しく知りたい方はこちら
▼ディープラーニング(深層学習)について詳しく知りたい方はこちら
AI×顔の技術
「AI×顔」の技術とは、AIを用いた顔認識システムのことを指します。
顔認証システムとは、顔の特徴を見つけ、捉え、保存し、分析することで、既存のデータベースにある個人の画像と照合することができる一連のアルゴリズムです。
AIを搭載した顔認証システムは、顔のデータベースを瞬時に検索し、検出された1人または複数の顔と比較することができます。
AIを搭載した顔認証システムには、以下のような特長があります。
- リアルタイムの識別が可能
- なりすまし防止対策
- 数百万人の顔を対象にしたモデル学習により、人種や性別による偏りが少ない
- 複数のカメラ間で情報を共有できる
機械学習によるAI×顔の技術
機械学習による顔認証システムは、3つの段階に分けて解説することができます。
それぞれ解説していきます。
ステップ1:顔検出
機械はまず、画像やビデオに写っている顔の位置を特定する必要があります。
現在では、ほとんどのカメラに顔検出機能が内蔵されていて、顔検出の技術は身近なものとなっています。
また、Snapchatやinstagramなどのソーシャルメディアプラットフォームでは、ユーザーがアプリで撮影した写真やビデオに効果を加えるために、顔検出が使用されています。
▶︎画像認識とは|機能・事例・仕組み・導入方法など徹底解説>>
ステップ2:顔の位置合わせ
顔が焦点から外れていると、コンピュータは本来の顔とは全く別のものとして認識してしまいます。データベース内の顔との整合性を保つために、顔を正規化するアルゴリズムが必要です。
これを実現する一つの方法は、顔の目印を使用することが挙げられます。例えば、あごの下、鼻の上、目の外側、目や口の周りの様々な点などです。
ステップ3:顔認識
各顔の測定値を使用して、最終的に機械学習によるAIは、データベース内の既知の顔に対して顔の測定値を照合します。
データベース内のどの顔が与えられた顔データの寸法に最も近いかを特定し、そのデータを一致した顔として返します。
深層学習によるAI×顔の技術
特徴量の測定と抽出
アルゴリズムがデータベース内の他の顔と照合するためには、顔からさまざまな特徴量を測定・抽出する必要があります。
どのような特徴を計測・抽出すべきかは当初不明でしたが、機械学習アルゴリズムにどのような計測値を収集すべきかを判断させることが最良のアプローチであることが研究者によって発見されました。
このプロセスはエンベッディングと呼ばれます。深層学習を使用して、顔の複数の測定値を生成するように自己学習させ、他の顔から顔を識別することを可能にするものです。
GANによるAI×顔の技術
顔画像の操作
GANとは、Generative adversarial networkのことで、敵対的生成ネットワークと日本語で訳されます。
近年、効果的な画像操作ツールとして登場し、広く利用されています。
GANを用いた顔画像の操作も可能であり、DeepFakeをはじめとするツールが既に悪用されています。
話題になったAI×顔の事例
ここからは話題になったAI×顔の事例として「顔認証システム」と「架空のアイドルの顔自動生成」を紹介していきます。
顔認証システム
AI×顔の組み合わせの代表的な技術は、顔認証システムです。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技(以下、東京2020大会)では、本大会史上初めて顔認証システムが導入されたことが話題になりました。
従来はIDカードのみで関係者を選別していましたが、貸し借りや盗難が行われた場合、不正に入場するケースが起こりえます。
東京2020大会で大きな事件が起こらなかった理由は、顔認証システムにあったと言っても過言ではありません。
最近では、顔認証システムに加え、顔作成や顔交換の技術が進歩し普及しつつあります。
架空のアイドルの顔を自動生成
株式会社データグリッドは、存在しないアイドルの顔を生成するAIシステムを開発しました。
最近では、不祥事により契約が解除されるケースが多く見受けられます。
AIによって生成されたタレント・モデルを起用することで、リスクを低減できる利点があります。
▶️アイドル自動生成AIについて詳しく知りたい方はこちら>>
顔写真作成サイトが普及
元UberのソフトウェアエンジニアであるPhillip Wangは、「This Person Does Not Exist」というウェブサイトを開設しました。
このウェブサイトは、更新されるたびに存在しない人の顔写真が表示されるサイトです。
このサイトに掲載されているすべての写真は、GAN(Generative Adversarial Network)と呼ばれる特殊な人工知能アルゴリズムを用いて作成されています。
▶︎GAN(敵対性ネットワーク)について詳しく知りたい方はこちら>>
アニメキャラを自動で生成
株式会社Preferred Networksはアニメキャラを自動で生成するwebサービスCrypko(クリプコ)を開発しました。
このサービスでは、AIの深層学習を利用してアニメキャラを無制限に生成することが可能です。
AIを活用した顔診断アプリ3選
次に、AIによる顔診断を体験できるアプリの紹介をします。今回紹介するアプリは以下の3つです。
それぞれについて、詳しく解説します。ぜひ、実際に利用して、どのような診断結果が出るのか試してみてください。
①フェイスタグ – AI顔診断アプリ
価格 | 無料(プレミアム版は500円) |
URL | App Store – Apple |
▼ フェイスタグ – AI顔診断アプリの特徴
- AIが顔の印象を分析して、タグ付けする
- 似ている芸能人、歌手を教えてくれる
- メイクの参考にパーツの比率を測定する
②そっくりさん – AIが似てる有名人を診断
価格 | 無料(VIPプランは月額980円) |
URL | App Store – Apple |
▼そっくりさん – AIが似てる有名人を診断 の特徴
- 似ている芸能人、歌手を教えてくれる
- 似ている度合いがパーセンテージで表現される
▶︎AIを活用した顔診断サイト・アプリおすすめ8選を紹介!>>
③どうぶつ顔診断
価格 | 無料 |
URL | App Store – Apple |
▼どうぶつ顔診断の特徴
- カメラで顔を撮影すると顔を認識する
- 似ている動物は数種類表示される
- 似ている度合いをパーセンテージで表現される
AIで顔交換・顔入れ替えが可能
顔交換アプリがティーンの話題に
Reface
価格 | 無料(サブスクリプション有) |
URL | App Store – Apple |
▼Refaceの特徴
- 撮影した顔と動画や画像の人物の顔を交換できる
- 映画の有名シーンをはじめ、多種多様の交換用素材がある
AIが活用されたアプリはこちらでも紹介しています。
▶︎【実用系から暇つぶし系まで】AI(人工知能)が搭載されたアプリまとめ
AIを活用した顔診断サイト・アプリはこちらで紹介しています。
▶︎AIを活用した顔診断サイト・アプリおすすめ8選を紹介!
ディープフェイクの悪用被害が拡大
ディープフェイクとは、“機械学習アルゴリズムの一つである深層学習(ディープラーニング)を使用して、2つの画像や動画の一部を結合させ元とは異なる動画を作成する技術“のことです。
引用:https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/ss/insider/security-words/33.html
Refaceのようなアプリも登場し、合成映像を作ることが容易になる一方、ディープフェイク技術の悪用が社会問題となっています。
例えば、2021年4月に、地震発生後の記者会見での加藤官房長官の表情がディープフェイクによって笑っている様子に加工された写真が拡散されました。
加工映像の規制は表現の自由もあり難しいですが、法整備を進めることは重要でしょう。
まとめ
この記事では、AIによる顔認証や顔作成や顔交換の技術、顔診断アプリの紹介に加え、AI×顔の技術を説明する上では欠かせない技術要素である、機械学習、深層学習、GANについても説明をしました。
AI×顔の技術は、より精度を高めるとともにサービスも拡大し、より身近な技術のひとつとなることでしょう。
当然のことですが、個人を特定することが可能な写真を無断で使用した場合、肖像権の侵害に当たるおそれがあります。
また、自分で撮影した写真や動画(いわゆる自撮り)を勝手に他人が公開することは、著作権侵害に当たる可能性があります。
適切な使用目的でサービスを利用しましょう。
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