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AIに関するさまざまな動向を理解することは大切です。
AIは技術革新が著しく、あらゆる業界でAIの重要性が増加しています。
実際、野村総合研究所は、今後の15年で既存の仕事の49%が不要になると発表しています。
身近な業界におけるAI活用の最新動向を知っておくだけでも、キャリア選択の幅が広がるでしょう。
あらゆる業界でAIの必要性が増加
深刻化する人手不足
現在、日本が抱える問題として深刻な人手不足があります。
実際、帝国データバンクが2019年4月に実施した調査によると、国内で正社員が不足している企業は50.3%にも登るそうです。
そして、今後人手不足はさらに深刻化すると言われており、将来的な日本の国力の低下が懸念されます。
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AIを活かして業務を効率化
そのような深刻な人手不足問題を解決するのがAIです。
AIの発展により、今まで人間にしかできないと考えられていた特徴量の自動抽出が機械でもできるようになり、人と同じような動作が可能になりました。
そのため、これからはAIが人に代わって業務を担い、業務を効率化することができます。
不足する人手をAIが補うことで、人手不足の解消を実現することができます。
メインの技術は画像認識
AIの技術の中で使われることが多いのが画像認識です。
画像認識とは画像や動画から特徴量を検出し、対象物を認識する技術のことをいいます。
活用できる幅が広く、スマホアプリやロボットなど端末からクラウドまであらゆる部分に活用されています。
人間と同じように「目」を持つ機械として、今までにないような業務効率化が可能になるのではないでしょうか。
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常に進歩するAI業界
2030年にはAI業界の市場規模は2兆1,200億円に!
AI業界は進歩し続けています。
実際、富士キメラ総研の発表によると2030年にはAI業界の市場規模は2兆1,200億円にまで到達するそうです。
それほど、社会の中でAIに対する需要は増加していると言えます。
そして、AI業界が発達していくことで、社会におけるAI導入が進み豊かな社会が実現できるのではないでしょうか。
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AI業界の動向をキャッチする方法
AI業界はめぐるましいスピードで変化しています。
今日最新だった技術が明日には時代遅れになっており、ついていくだけでも大変です。
そこで、まずはAI業界の動向を把握するための方法をご紹介します。
AI関連イベントが多数開催
AI関連のイベントは各地で多数開催されています。
より具体的に言えば、AI・人工知能 EXPOやAI・業務自動化展は全国津々浦々からAI関連企業が何百と集まるビッグイベントです。
それぞれの企業が自社を社会にアピールするために、最新のサービスや製品を展示します。
AIに関する最新の技術や活用に関して、一気に把握することができますので、AI業界の現状をみるには非常に有効です。
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毎月最終土曜日には「Machine Learning 15minutes!」というイベントが開催されています。
1人15分という枠で、機械学習のプロジェクトに従事するさまざまなスペシャリストが登壇するイベントです。
詳しくはこちら▼
▶第20回 Machine Learning 15minutes! NVIDIAの最新情報や自作の顔認識システム、モデルのデプロイ手法など>>
他にもAINOWでは、毎月、AI系のイベントをまとめて公開しています。
AINOWが公開しているAI系のイベントまとめはこちらから▼
AI専門メディアも充実
AI専門メディアを見ることで、AI業界の情報を日々把握することができます。
ニュース記事やまとめ記事、取材記事などありとあらゆるコンテンツが充実しているのが特徴です。
また、手軽に見ることができますので、通勤時間や休憩中などちょっとした隙間時間に情報を集めるのには最適です。
AINOWはAI専門メディアとして、AIの情報を毎日発信しています。
メールマガジンも配信していますので、ぜひご覧ください。
常に業界にアンテナを張ることが大切
変化の早いAI業界の動向についていくためには、常に業界にアンテナを張っておく必要があります。
イベント行ったり、記事などの情報を収集するといった常に学び続ける姿勢が求められます。
最新のAI事情を知っているだけで、社内の課題や問題に対する解決策の幅が圧倒的に広くなります。
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身近な各業界におけるAI活用の最新動向7選
今回紹介する最新事例は以下7つです。
- 食品業界|原材料の良品判別システム開発
- 食品業界|「目利き」の技術を継承した品質判定AIの採用
- 農業業界|自動運転トラクターの普及
- 農業業界|土壌を判別して種をまくAIドローンの登場
- 医療業界|大腸がんを見つける内視鏡画像解析AIの活用
- 物流業界|自律型協働ピッキングロボットの活用
- 物流業界|AIで100km先まで勾配を予測するハイブリッドトラックの登場
それぞれ解説していきます。
食品業界|原材料の良品判別システム開発
マヨネーズなどの食品でおなじみのキユーピー株式会社は、2016年からAIを活用した原材料検査装置の開発を進めています。
検査を行う場合、装置に学習させて不良品を判別するのが一般的ですが、キユーピーは学習させて良品判別する検査装置を開発しました。
この装置は、すでにベビーフード工場や惣菜工場に導入されています。
さらに2020年には、キユーピーは独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(NARO)の「2020年イノベーション創出強化研究推進事業」に採択されました。
AIによる検査装置の研究がさらに進んでいます。40種類以上の原料を判別できるようにするほか、原料内部の異物(虫)の存在の検知をテーマにしています。
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食品業界|「目利き」の技術を継承した品質判定AIの採用
マグロの良し悪しは、熟練した職人が「マグロの尾の部分」を見て判断するのだそうです。
この目利きの技術は、往時の直感と経験にもとづくもので、限られた人だけがもつ極めて感覚的な「暗黙知」です。現在、熟練工の数は全盛期の半分以下となり、後継者不足から熟練工の流出が進んでいます。
このような状況に対し、マグロの品質を瞬時に判断するAI「TUNA SCOPE(R)」を開発しました。
キャリア35年のベテラン目利き職人の目利きスキル、つまり目利き職人自身も言語化することが難しいスキルをディープラーニングで学習させることで、マグロの品質を瞬時に判断できるようになりました。
開発したAIをスマートフォンのアプリケーションに実装し、ベテラン職人による品質判定結果と比較したところ、精度は90%です。
2020年3月には、水産庁の「2049年度水産物の輸出拡大連携促進事業」に「TUNA SCOPE(R)」を用いた輸出事業が採択されました。AIによる公正な判定を受けたマグロが世界各国へ輸出される予定です。
農業業界|自動運転トラクターの普及
株式会社クボタは、自動運転機能を搭載した「アグリロボトラクタ」を開発しました。
農作業の効率化・高精度化、省力化、さらには軽量化を図るためです。アグリロボトラクタは、耕うん、代かき、肥料まき、粗耕起、種まきの5つの作業を自動で行うことができます。
また、作業に必要な情報を入力することで、圃場の形状に応じた最も効率的な作業ルートを作成する機能も備えています。
トラクターの前後左右に障害物検知用レーザーとソナーを設置し、障害物に近づくと自動運転を停止します。
また、地図上の圃場や作業経路から外れた場合も自動運転を停止します。これらの機能により、未熟練者でも簡単に操作できるようになり、人手不足の解消が期待されています。
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農業業界|土壌を判別して種をまくAIドローンの登場
農業従事者の高齢化と後継者不足は、現在の農業の課題です。
株式会社オプティムは、AIとドローンを組み合わせた播種制御技術を開発しました。
鳥獣害の軽減と播種作業の省力化のためです。
ドローンが圃場上空から土壌の状態を撮影・解析し、それぞれの場所に適した強さで播種を行うことで、定植を実現しました。
また、上空から圃場を撮影した画像や病害虫の発生状況をAIで解析することで、ピンポイントで農薬散布や施肥が可能となり、農薬の使用量を削減することができます。
医療業界|大腸がんを見つける内視鏡画像解析AIの活用
大腸がんは日本人に多い病気で、最悪の場合死に至ることもありますが、早期に発見して切除できれば死亡率を抑えられるため、内視鏡検査で見逃さないことが重要です。
国立がん研究センター(NCNC)と日本電気株式会社は、AIを活用した内視鏡AI診断支援医療機器ソフトウェアを共同開発し、2021年1月に医療機器として承認されました。
このソフトは、検査中に表示される画像をリアルタイムで解析します。大腸の前がん病変や初期の大腸がんを検出すると、通知音が鳴り、画像上で強調表示され、大腸がんの見落としを防止します。
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物流業界|自律型協働ピッキングロボットの活用
近年、インターネットを利用した通販の発達に伴い、物流における業務量は増加の一途をたどっています。
日本通運株式会社は、2018年より株式会社ラピュタロボティクスと協業し、自律移動型ロボット(AMR)を導入し、2020年8月より本格運用を開始しました。
AMRは、既存の倉庫に設置してもレイアウト変更やマテハンの更新が不要で、現場の業務を中断することなく導入することが可能です。
ここでは、次の商品へ移動する際に、AIが最短時間でピッキングを完了するためのルートを提案します。
これにより、ピッキング作業の効率化だけでなく、誰でも簡単に作業ができるようになったり、作業者の作業教育にかかる時間を短縮できるなどの間接的な効果も期待できます。
物流業界|AIで100km先まで勾配を予測するハイブリッドトラックの登場
これまでハイブリッドシステムは、高速道路を走行することが多く、頻繁に発進・停止することがないため、大型トラックには不向きとされてきました。
日野自動車株式会社は、日本の高速道路の勾配と大型トラックの重量に着目し、AIを活用したハイブリッド大型トラックを開発しました。
これらの情報をもとに、AIがバッテリー使用量の大まかなシナリオを作成します。
下り坂では車両重量による大きな運動エネルギーを電力に変換して大容量のバッテリーを充電し、平地では蓄えた電力を使ってモーターだけで走行します。
▶物流DXはハードルが高い?5分でわかる定義から導入まで>>
まとめ
医療や製造業、農業などありとあらゆる業界がAIによって全く新しい形として生まれ変わろうとしています。
AIが今以上に発展し活用されるようになれば、今まで人が担っていたムダが削減され業務効率化につながるのではないでしょうか。
そして、日本で深刻化する人手不足問題もAIによって解決できます。
今後の日本の明るい未来を実現するために、AIの動向に目が離せません。
慶應義塾大学商学部に在籍中
AINOWのWEBライターをやってます。
人工知能(AI)に関するまとめ記事やコラムを掲載します。
趣味はクラシック音楽鑑賞、旅行、お酒です。