AIがもたらす未来のシナリオ-人間の敵か味方か

AIが私たちの生活を変えつつあります。

例えば、自動運転。今日の車には、車線を読み取って走行を補助する機能や自動ブレーキが搭載されているものがあります。完全自動運転は実現していませんが、AIが人間を補助する仕組みが少しずつできているのです。

将来的には自動運転やスマートシティ、ドラえもんのようなAIの開発など、私たちの生活を便利に豊かに楽しくしてくれる、そんな希望とともに、AIの開発が進められています。

一方で「人間を滅ぼす」というような、ネガティブな意見やAIへの恐怖も根強いです。

この記事では、AIがもたらす未来に関する議論を整理するとともに、我々人間の取るべき対応について考えてみます。

AIがもたらすポジティブな未来

まず、AIがもたらすポジティブなシナリオを考えてみましょう。

業務の効率化が進み、生産性を向上させる

AIが導入されれば、業務が効率化されます。それによって、労働力も削減。生産性の向上も期待されます。

例えばAI-OCRという技術があります。これは、画像データから文字を認識して、機械が読み取れる形に変換する技術で、AIを取り入れることで、大幅に精度が向上しています。

今まで人間が手作業でしていたデータの処理を、AIが質を均一に保ちながら人間の仕事を効率的に代替してくれるのです。

特に、少子高齢化に伴う労働力不足が問題となっている日本では、この意味でAIにかける期待が大きいです。

アクセンチュアは、ベースラインシナリオ(従来の予測経済成長)と、AIの影響力が市場に浸透した場合のシナリオの国別比較をしており、ぞの結果が下図です。

AIの影響力が市場に浸透した場合、日本では2035年時点で34%の労働生産性の向上が見込めるとしています。

人間にしかできない仕事に集中できる

AIにも得意、不得意があります。その中で、残る仕事・新たに生まれる仕事が、人間がAIに比べて得意な仕事になります。

またAIが社会に浸透した時に、逆に「人間」の存在がブランドになりうるでしょう。

例えば特別な人とちょっといいレストランに行くとき。ほとんどの店員がAI化されたなか、人間の店員とコミュニケーションを取りたいこともあると思われます。人間が逆にブランド化されるのです。

このように、人間とAIが仕事のすみ分けをして、社会全体が効率化されます。

新たな産業を生み出す

テクノロジーは新たな産業を生み出します。例えば、エンジニアやWebデザイナーという仕事は、インターネットなどのテクノロジー抜きには生まれません。

AIを生み出す仕事、使う仕事、あるいはAIが仕事を代替したのちの余暇が産業となる可能性があります。

このように、産業がアップデートされることで、生活の豊かさや便利さが向上されていくでしょう。

人間そのものの能力が拡張・アップデートされる

そもそも人間と、AIを対立させて考えるのは妥当でしょうか。

見方を変えれば、AIは私たちの能力をアップデートすると考えることができます。これは新しい人間のカタチです。

例えば、コンタクトレンズも一つのテクノロジーです。この技術は私たちの視力を拡張する、身体の一部として考えることができます。

AIも同様です。三宅陽一郎氏は、アルファ碁の例を挙げ以下のような主張をしています。

例えば、アルファ碁って人間の敵だと思うかもしれません。しかし、アルファ碁というのは、自分の囲碁プレイ補助装置だと思えば味方だととらえることもできます。

人の力の延長として技術を纏うこと、それがヒューマンオーグメンテーションなんです。これと同じようなことが、あらゆるモジュールで起こってきています。英語を勉強しなくても自動的に日本語に変換されるシステムもヒューマンオーグメンテーションだし。

今われわれは自分の目で世界を認識しているから、たかだか100メートルぐらいしかわからないけれど、将来的には地球全体をいつでも見れるようになるかもしれません。シンギュラリティの意味は、人の拡張によって薄れていきます。

出典:https://ainow.ai/2019/07/02/170473/#AI

AIがもたらすネガティブな未来

一方でAIは必ずしも歓迎されているわけではありません。AIによってもたられると言われるネガティブなシナリオも見ていきましょう。

今までの仕事が奪われる

AIは、私たちから仕事を取り上げます。例えば、自動運転が実現すればタクシーやバスの運転手はいらなくなります。

株式会社野村総合研究所と、英オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究によると、日本の労働人工の49%が人工知能やロボットで代替可能であるとしています。

出典:https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf

AIが使える人と使えない人で格差が生まれる

AIの誕生による、格差の問題を心配する声も上がっています。

東京大学大学院経済学研究科教授の柳川範之氏は、AIと仕事の関係について以下のように指摘します。

人の数があまり要らなくなるのは事実ですが、ほとんどの産業で起こるのは、その中で人間のやる業務が分かれていくという話です。まるきり全部なくなるわけではなく、一部の人が結構な仕事をやっていくという方向に変わっていきます。

<中略>

仕事を奪うのは、AIそのものではなく、AIの裏側にいる人間なのです。今のところ、AIは道具です。人間がAIを使っています。突然、そのコンピュータやロボットが意思をもち、人間の仕事を奪い出すということはないのです。

引用:https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1454

テクノロジーと、格差の関係は古くから注目されています。例えばイギリスのラダイト運動。19世紀初期に、機械に仕事を奪われた労働者が行った機械破壊運動です。

しかし、これは機械を使える人間vs機械を使えない人間と構図を捉えなおすことができます。

このように、AIが人間同士の対立の火種になる可能性があります。

AIが人間を滅ぼすかも

人間とAIにおける最悪のバッドエンドは、AIが人間を滅ぼすということです。

AIは人間の最後の発明として語られることが多くあります。例えばシンギュラリティ説。AIが人間の知能を超える転換点のことで、2045に訪れると予想されました。シンギュラリティ以降は、AI自らがAIをプログラミングすることが想定されています。

このように、AIが人間の知的能力を上回った時、「人間の存在価値が無くなるから」「AIにとって人間が最も棄権だから」というような理由で人類が滅亡してしまうのではないかと語られるのです。

AIがもたらす未来に人間はどう対応すべきか

AIがもたらす未来がどうなるか。それは結局のところ“神のみぞ知る”と言うしかありません。

また、AIが何か変化をもたらした時、それを”良い”と捉えるか“悪い”と捉えるかは、その人の立場や考え方に影響され、一般的な“良し悪し”を付けるのは難しいでしょう。

このようなAIの解釈論争は常に火花をあげています。

しかし、実際の意思決定。例えば、AIをどう取り入れるかどうかの会社の決定や、AI社会でどう生きるかという個々人の決定では、AIに対する印象ではなく、科学的な検証を経た情報に基づいて判断することが必要です。

例えばシンギュラリティ説は、非常にヴィジョナリーかつ衝撃的で、AIに対する脅威に人々を引き付けます。一方で、その説を否定する有識者も少なくありません。

また、AIと労働に関する統計も同様です。フレイ&オズボーンが2013年に発表した論文“The future of employment : how susceptible are job to computerization”では、「米国において10~20年間に労働人口の47%が機械で代替されるリスクが70%以上」というもので、人々に仕事を奪われるという未来を想起されました。

しかし、その妥当性は常に検証されています。例えば、ZEW研究所の2015年の推計では、9%まで大きく下方修正しています。

常に更新される情報をキャッチアップして印象論に惑わされないことが、AIと向き合うことが私たち人間に望まれる対応ではないでしょか。

2019年11月9日 2019年11月9日更新

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