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2019.11.09

AIがもたらす未来の希望と問題 – わたしたちの仕事や生活は危険?

最終更新日:

現在、人工知能(AI)は私たちの生活のあらゆる場面に関わっています。

さらには、「AIが人類の知能を超える時点、『シンギュラリティ』が2045年に到来する」という意見も耳にします。

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AIの発展とともに、「AIが台頭し、人間の仕事が奪われるのではないか」という不安を抱えている人も多いでしょう。しかし、現在は問題特化型のAIが開発・導入されているケースがほとんどで、一つの問題の解決にのみAIが機能しているのが現状です。

将来的には自動運転やスマートシティ、ドラえもんのようなAIの開発など、私たちの生活を便利に豊かにしてくれる、そんな希望とともにAIの開発が進められています。

一方で「人間を滅ぼす」というような、ネガティブな意見やAIへの恐怖も根強いです。

ここでは、AIがもたらす未来に関する議論を整理するとともに、我々人間のとるべき対応について考えていきます。

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▼AIについて詳しく知りたい方はこちら

AI(人工知能)の現在

AIは近年、急速に普及しています。画像認識が発展したことによる不良品検品やさまざまな特徴に応じた商品の仕分け農機の自動化や害虫を特定し、農薬を散布するドローンがんの早期検出や建築物の損傷・弱体部分の検出など、さまざまな分野でAIが活用されています。

AIが広く普及した要因の1つがディープラーニングです。ディープラーニングによってAIにできることが増え、現在のようにさまざまな分野で活用されるようになりました。

一方、AIができないことも多くあります。例えば、人間のように感情を理解したり、何もない無の状態から創造したりはできません。

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AIの歴史

AIが現在、どのように活用されているか理解できたかと思います。では、AIはどのような歴史を経て発展していったのでしょうか。

AIという言葉が誕生したのは1956年にアメリカのニューハンプシャー州にあるダートマス大学で開催された『ダートマス会議』です。それ以降ブームと冬の時代を繰り返し、徐々にできることが増えていきました。

最も革新的な変化が、2006年のディープラーニングの提唱です。ディープラーニングが提唱されて以降、AIにできることは飛躍的に増え、現在まで発展が続いてます。

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未来のAIにできること・できないこと

はたして、未来のAIには何ができるのでしょうか。

現在、AIは「強いAI」と「弱いAI」に分けられており、強いAIはまだ実現していません。強いAIとは、人間のような自意識を備え、全認知能力を必要とする作業も可能なAIです。

しかし、「強いAI」が実現した時代に一体どういう社会が訪れるのかは誰にもわかりません。その一方、弱いAIも進化を続けており社会に貢献しています。

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AIが未来にもたらすメリット

AIが未来にもたらすメリットとして以下の4つが考えられています。

  1. 業務の効率化が進み、生産性を向上させる
  2. 人間にしかできない仕事に集中できる
  3. 新たな産業を生み出す
  4. 人間そのものの能力が拡張・アップデートされる

①業務の効率化が進み、生産性を向上させる

1つは業務の効率化が進み、生産性を向上させることです。

データ分析や予測は人間の手で行うことは可能ですが、AIを利用すれば、分析時間短縮や予測制度の向上が期待できます。

AIを導入することでデータ分析や予測の工数を大幅に削減できるでしょう。また、単純作業でも人間が行うより正確な成果を出せます。

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②人間にしかできない仕事に集中できる

2つ目は、人間にしかできない仕事に集中できることです。

データ分析や予測は人間が行うと時間がかかってしまいます。しかし、データ分析や予測、単純な作業をAIが行うことで、人間は他のクリエイティブな作業に集中できます。

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③新たな産業を生み出す

3つ目は新たな産業を生み出すことです。

AIの発達により、様々な経済活動等を逐一データ化し、そうしたビッグデータをインターネット等を通じて集約した上で分析・活用できるようになっています。これにより、新たな経済価値が生まれています。

AIやロボットを活用し、AIを使った自動運転の試行実験、AIを活用した資産運用介護などでのロボットによる補助など、新たなサービスが可能になるでしょう。

④人間そのものの能力が拡張・アップデートされる

4つ目は、人間そのものの能力が拡張・アップデートされることです。

AIの役割は人間の代替ではなく、人間の知能を拡張することであるという意見もあります。AIの活用が進むにつれ、人間の労働を機械が代替し始めています。しかし、それぞれが持つ「知能」は本質的に異なっているため人間と機械は競争関係にあるわけではありません。

人間の知能と機械の知能を組み合わせることで生まれる「拡張知能」が、知的労働の未来を切り開くことになるでしょう。

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AIが未来にもたらすデメリット

AIにはデメリットもあります。ここでは以下の3つを紹介します。

  1. 今までの仕事が奪われる
  2. AIが使える人と使えない人で格差が生まれる
  3. AIが人間を滅ぼすかも

①今までの仕事が奪われる

1つ目は今までの仕事が奪われることです。雇用の減少も危惧されています。

AIで代替できる仕事が増え、一部の職業がなくなる可能性があるということをよく耳にするかもしれません。比較的単純作業の多い職業の雇用が、将来的に減少すると考えられます。

しかし、AIの活用が広まることで新たに生まれる雇用も多くあります。そのため、将来に向けてデータサイエンティストのようなデータ分析スキルに長けた専門職の需要は高まっていくでしょう。

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②AIが使える人と使えない人で格差が生まれる

2つ目はAIが使える人と使えない人で格差が生まれることです。

この問題から、所得の格差が広まり中間層が消えるという新たな危険性も示されています。AIが使える人はデータ分析スキルに長けた専門職に就き多くの収入を得られるようになるでしょう。その一方、AIが使えない人はこのような職業に就けず、仕事を失う可能性もあります。

このことから、全ての作業をAIに任せるのではなく、人間の補佐としてAIを活用していくことが重要であると言えます。

③AIが人間を滅ぼすかも

3つ目はAIが人間を滅ぼすかもしれないということです。

2045年にはAIが人間を超え、人間より賢いAIがさらに賢いAIを独自で作ってしまう、シンギュラリティが来るとされています。シンギュラリティは、機械が人間の手を離れてしまい、人間より知能の高いものよって歴史が作られていく出発点になるということを意味します。

感情がないAIが人間の手を離れ、意思を持ち、人間を地球にとっての害とみなし、人間を滅ぼすのではないかと言う人もいます。

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AIによって変わる未来の生活

ロボットに業務の一部を負担させることで、人間がよりクリエイティブな仕事ができるようになることが予測されています。以上でも述べてきたように、単純作業などから解放されるでしょう。

また、材料の購入から食卓まで管理し、更に蓄積されたデータを元に材料の不足を知らせたり、今日の献立を提案してくれたりする冷蔵庫も開発が進んでいます、家事の負担を軽減できるようになるかもしれません。

他にも、歯磨き・着替え・朝食と言った忙しい朝の支度をサポートし、スムーズに準備することを可能にした「お節介AIロボット」や、自動運転の空陸両用タクシーが近中距離の輸送手段として発達し、過疎地での高齢者・障害者の足となることや、事故や渋滞の改善策として利用される未来が訪れるかもしれません。

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AIがもたらす未来の仕事

AIが発展することによって、人間が行っている仕事をAIが代替をして、人間の仕事がなくなるということが言われています。確かに、監視業務など今ある仕事の中でなくなる仕事は出てくるでしょう。

しかし、農業革命の後には農業従事者が、産業革命の後には工場労働者やホワイトカラーが、インターネット革命の後にはエンジニアセキュリティー技術者が新たな職を得たように、AI革命よって増え、価値があがっていく仕事もあるでしょう。

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ヘルスケア業界 ‐ 効率性の向上

米国テキサス州のヒューストンメソジスト研究所のAIプログラムでは、人間の30倍の速さで何百万ものマンモグラムを検査することができ、しかも処理された診断情報は99%の高精度を示しました。マンモグラムとは、乳がんのがんを検査するために使用される低線量X線です。

このように、AIが関わることによって効率性・精度共に大幅に向上します。

また、AIが進歩することによって、埋め込んだチップが体内の自律システムをコントロールする道が開かれようとしています。脳内反応によって作動するチップにより、バーチャルリアリティーを通じて視覚を拡張したり、記憶機能を拡張して記憶能力を改善するなど、近い未来可能になるかもしれません。

農業業界 ‐ 収穫量の最大化

新たな作業カテゴリーである「精密農業」では、ドローン、スマート農機、IoTセンサなどを活用して、土壌組成、水分レベル、肥料の必要量に関する特定農地のビッグデータを収集することにより、収穫量の最大化を図っています。ドローンテクノロジーのスキルだけでも、その需要は14%上昇しています。

ドローンを活用することで、効率のいい農薬散布が可能になり、コンピュータービジョンを使って衛星写真をAIで分析することにより、農作業の状況をマクロレベルで把握することもできます。

一般企業 ‐ デジタルトランスフォーメーション化

最終的に企業は、AIの導入によってビジネス価値が提供されていることを証明する必要があります。「どのようにビジネス価値を測定すればいいのか」ということに関して言えば、「AIは、どのような収益をもたらすのに貢献したのか」、あるいは「AIは、経費削減のためにどのような収益をもたらしたか」といった典型的な財務に関する質問に答えることになります。

AI戦略を維持するためのカギは、特に、過去の測定値が直近の価値を証明しているときに、主な意思決定者との信頼を築くことです。企業のエバンジェリストが、こうした投資によって最終的にはROI(※1)が上昇することを経営幹部に納得させることができれば、経営幹部は、一般的な四半期ごとの投資戦略ではなく、より長いスパンで投資を考えるようになります

(※1)ROIとはReturn on investmentの略で、投資した費用に対してどれだけ効果や利益を出すことができたかを表す指標です。

広告・マーケティング業界 ‐ 市場規模の拡大

広告はすべての業界で必要とされているため、広告・マーケティング業界は市場規模も大きく、実績の出せる人材に対して需要の高い業界といえます。

また、AIが発展しさまざまなSNSにも活用されるようになっています。そのため、AIの発展と広告業界、マーケティング業界の発展は密接に関わっています

近年ではテレビ広告からインターネット広告へと移行し、デジタルマーケティングWeb広告に強い人材が求められています。SNSなどの複数の媒体を組み合わせて話題作りを仕掛けられる人集客につなげるノウハウを持っている人は様々な分野で求められています。

データサイエンティスト ‐ 需要の拡大

AIやDXの導入によりビッグデータを獲得できるようになりました。このデータをテキストマイニングなどの手法で解析し、意志決定者がビジネスに役立てることができる形にまとめ上げて提案するのがデータサイエンティストです。

統計解析やデータ分析スキルに加え、ビジネスや市場のトレンドなど幅広い知識が求められますが、データをビジネスに活かしたい企業で需要が高まっている職業の一つといえます。

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未来のAIは危険なのか

未来のAIは人間にとって危険なのでしょうか。以上で説明してきたように、AIは人間にとって脅威にもなります

しかし、一方で人間の知能を拡大する役割も担い、人間がより創造的でやりがいのある仕事につけるように単純作業をしてくれる存在でもあります。そのため、危険であるからといってAIを規制するのは人間にとってもデメリットが大きくなるでしょう。

AIの特性を理解し、正しく活用していくことが重要です。

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AIがもたらす未来に人間はどう対応すべきか

AIがもたらす未来がどうなるか。それは結局のところ“神のみぞ知る”と言うしかありません。

また、AIが何か変化をもたらした時、それを”良い”と捉えるか“悪い”と捉えるかは、その人の立場や考え方に影響され、一般的な“良し悪し”を付けるのは難しいでしょう。

このようなAIの解釈論争は常に火花をあげています。

しかし、実際の意思決定にあたる「AIをどう取り入れるかどうか」の会社の決定や、「AI社会でどう生きるか」という個々人の決定では、AIに対する印象ではなく、科学的な検証を経た情報に基づいて判断することが必要です。

例えばシンギュラリティ説は、非常にヴィジョナリーかつ衝撃的で、AIに対する脅威に人々を引き付けます。一方で、その説を否定する有識者も少なくありません。

AI技術が発展し、画像認識や音声認識、テキストの分析などが可能になり、技術的なブレークスルーが起きました。同時に、AIが人類の知能を超えてしまうシンギュラリティ(技術的特異点)に注目が集まっています。

AI技術がさらに進化を遂げた未来では、AIが人類の知力を超えるとされています。

また、AIと労働に関する統計も同様です。フレイ&オズボーンが2013年に発表した論文“The future of employment : how susceptible are job to computerization”では、「米国において10~20年間に労働人口の47%が機械で代替されるリスクが70%以上」というもので、人々に仕事を奪われるという未来を想起されました。

しかし、その妥当性は常に検証されています。例えば、ZEW研究所の2015年の推計では、9%まで大きく下方修正しています。

常に更新される情報をキャッチアップして印象論に惑わされないことが、AIと向き合うことが私たち人間に望まれる対応ではないでしょうか。

まとめ

本記事ではAIの歴史や現状、メリットとデメリットから将来各業界でどのように変化するのかまで紹介しました。

AIにはさまざまな側面があり、今後もどのように進化していくのか注目していく必要があるでしょう。

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